超マクロで蝶の羽を撮る

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超マクロで蝶の羽を撮る」というのをやってみた。シャレじゃないよ(^^)

マクロ撮影というと、通常はマクロレンズで等倍……つまり、対象物の大きさがセンサーに等倍で撮影できるというもの。

等倍よりも大きく……つまり、肉眼で見えるよりも拡大して写すには、ルーペで拡大するように大きく写るような工夫が必要になる。
ミクロの世界を見たり撮影したりするには顕微鏡が適しているのだが、いい顕微鏡というのはけっこう値段が高い。

そこで持っているレンズに少し機材を足して、等倍以上のマクロ撮影をしてみる。
まず、手っ取り早く2倍マクロにする方法は、コンバージョンレンズを使う方法だ。
各社から出ているが、倍率が1.4倍、2倍というのがある。Kenkoに3倍というのもあるのだが、私はCANON用を持ってはいるものの、画質的にはかなり落ちてしまうので、あまりオススメはしない。

今回、接写リングを使って、超マクロの撮影をしてみた。
接写リングは、Kenko Tokinaの12mm、20mm、36mmの3つ。接写リングは、レンズとカメラ本体の間に入れるもので、リングだけなので画質には直接は影響しない。

リングを入れることで、最短撮影距離が短くなるので、それによって等倍以上の撮影が可能になるという理屈だ。
接写リングは、3種類を組み合わせられるが、組み合わせた長さが、レンズの焦点距離より短くなくてはいけないという制約がある。
したがって、3つを足すと68mmなので、マクロレンズは68mmより長いもの、90mmとか100mmなどを使う。
▼以下はNIKON用。ソニー用、CANON用などもある。
ケンコー・トキナー デジタル接写リングセット ニコンAF用 12mm、20mm、36mmセット 083339
ケンコー・トキナー デジタル接写リングセット ニコンAF用 12mm、20mm、36mmセット 083339
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カメラは、NIKON D800を使う。
NIKON用の持っているマクロレンズは、60mmと180mm。(ちなみに、NIKONでは「マイクロレンズ」と呼ぶが、ここは一般的なマクロレンズという呼び方にする)

ということで、使用機材のリスト……

●カメラは、NIKON D800
レンズは、
NIKON AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
SIGMA APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSM
SIGMA APO TELE CONVERTER 2x EX DG
接写リング Kenko Tokinaの12mm、20mm、36mm

被写体は「モルフォチョウ」の標本。(以下、写真はクリックすると拡大表示)
この蝶の羽の鱗粉を撮ってみる。

モルフォチョウの標本

モルフォチョウの標本

▼まず、60mmマクロで、等倍の撮影。部分を切り出している。

モルフォチョウの羽(等倍)

モルフォチョウの羽(等倍)

鱗粉の粒が、なんとか判別できる程度だ。

▼次は、60mmレンズに、接写リングを20mm+36mmを付けて撮った。

モルフォチョウの羽(60mmレンズに接写リング20mm+36mm)

モルフォチョウの羽(60mmレンズに接写リング20mm+36mm)

等倍よりも鱗粉の粒がはっきりしてきた。だいたい4倍マクロ(面積比)くらいだろう。

さらに拡大するために、もうひとつ手持ちのレンズを付加する。
レイノックス MSN-102マクロコンバージョンレンズ
これはレンズの先端につけて使う。これをつけることで、さらに2倍~4倍になる。

モルフォチョウの羽(60mmレンズに接写リング20mm+36mmとレイノックスコンバージョンレンズ)

モルフォチョウの羽(60mmレンズに接写リング20mm+36mmとレイノックスコンバージョンレンズ)

これで約8倍~10倍マクロ(面積比)になっていると思う。

もっと拡大する。
今度は180mmマクロレンズに、2倍コンバージョンレンズを付け、さらに接写リングを3つ連結して撮った。

レンズの組み合わせ

レンズの組み合わせ


▼これで撮影すると……

モルフォチョウの羽(180mm×2+リング3つ)

モルフォチョウの羽(180mm×2+リング3つ)


拡大率は、16倍(面積比)くらいだと思う。
鱗粉のひとつひとつが判別できる大きさだ。
もっと大きく、鱗粉を1つ捉えたいところだが、ここから先は顕微鏡が必要だ。
顕微鏡とまではいかなくても、レンズと接写リングの組み合わせで、ここまで顕微鏡的な写真は撮れるよ……という参考に。

ちなみに、撮影しているときの様子が以下。

撮影風景

撮影風景


背景に散らかった部屋が写っているので、周囲はぼかしてある(^^)

マクロ撮影では、照明が難しいのだが、今回は主光源のストロボを手持ちで蝶に近づけて撮っていた。というのも、モルフォチョウの青い羽根は、色素があるわけではなく、鱗粉の分子構造で青い光を反射しているにすぎないからだ。光の干渉によって発色する仕組みを「構造色」という。
光の当て方によって色味が変わるので、微妙な光の加減を手持ちストロボで調整していた。

また、ピントの合う範囲がきわめて狭いので、ベルボンのフォーカシングレール(Velbon スーパーマグスライダー マグネシウム製)を使用して微調整した。

余談だが、フォーカシングレールは現在入手可能なのは、Velbon製とKenko製くらいしかないが、私は両方とも持っている。
先にKenko製を買ったのだが、微調整のつまみに遊びがありすぎて微妙なところが合わせにくい。
Velbon製は、土台がしっかりしていてぐらつきが少なく、微調整の遊びも少ない。ただ、つまみがやや硬くて、動かすのに力がいる。
一長一短だが、Velbon製の方が180mmのような大型レンズにはよい。
Velbon スーパーマグスライダー マグネシウム製
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ケンコー・トキナー ケンコー 三脚 XYフォーカシングレール 080822
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……ということで、超マクロはミクロの世界の入口だ。

これ以上の拡大をするには、性能のいい顕微鏡が必要になる。安っぽい顕微鏡だと、10倍~20倍程度なので、それなら一眼レフカメラで超マクロ撮影しても大差ないとはいえる。

そのうち、一眼レフで撮影のできる顕微鏡を買いたいと思っている。
ミクロの世界は、身近にありながらも見ることのできない世界だ。
そんな世界を覗いてみるのも楽しい。

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