電子書店の評価記事…これは役に立つ

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 電子ブックはブームの兆しを見せているが、それは期待値が大きいという裏返しではあるものの、本当のブームになるにはまだまだ課題も多い。
 大ブレイクできない大きな要因が、電子ブックのストアだ。
 決定的というか、過不足なくユーザーの欲求を満たしてくれるものがない。
 DRMがかかっていて、ファイルの移動やバックアップができないとか、端末を限定されるとか、自由度がなかったり。
 そんな電子書店を評価するという企画記事が以下。
 これはなかなか面白く役に立つと思う。

あなたに合った電子書店を見つけよう:これでもう迷わない、電子書店完全ガイド――honto (1/5) – 電子書籍情報が満載! eBook USER

 電子書店事業にはさまざまな企業が参入していて、それぞれに特徴があります。この特集では、それぞれのサービスをじっくりと時間を掛けて使い込んだ筆者とeBook USER編集部が、国内の主要な電子書店を徹底解説していきます。「本当によいストアはどこなのか?」を知るガイドにしていただければと思います。この連載は定期的にアップデートし、サービスとしての電子書店の成長をつぶさにお届けします。

ハイブリッド型総合書店「honto」

ハイブリッド型総合書店「honto」

 こういう評価は、ユーザーにとって役に立つだけでなく、ストアを運営する側にも改善点や利便性を高める上で役に立つはずだ。

 Amazonのkindleが日本に参入する……と宣言しているが、なかなか実現できないのは作品数が集まらないかららしい。楽天koboみたいに、しょぼいラインナップで見切り発車するのではなく、万全を期して参入するつもりなのだろう。
 どういう形でAmazonの電子ブックが参入してくるのか、楽しみではある。

 電子ブックに期待するものは大きいのだが、果たしてアメリカのように紙の本を凌駕するほどに日本で電子ブックがブームになるかどうかは……未知数というか懐疑的だ。
 その理由は、ストアに魅力的なものが乏しいからだ。
 本の品揃えは、電子ブックを提供する出版社が同じであれば、基本的に変わりはない。
 問題は、その本の売り方というか見せ方に工夫がない。
 実店舗であれば、平積みにしたりポップを作ったりポスターを貼ったりと、売るため、目立たせるための工夫をして、客の興味を引かせる。
 現状の電子ブックストアには、そうした工夫や「面白さ」がない。
 ただ、だらだらとリストアップして並べているだけだ。言い方を変えれば「ダサイ」
 数年前に、新しいWEBを指して「WEB 2.0」というような言い方があったが、そういう言い方をすれば、現在は「電子ブック0.8」くらいだろう。まだバージョン1.0にもなっていないβ版だ。
 作品数を増やすことも重要ではあるが、ストアの作り方にはもっと工夫が必要だ。
 たとえ、100万点の本があっても、売れ筋はそのうち1%くらいだろう。大部分は規模を表す数の肥やしでしかない。
 人気作家は売れるだろうが、無名の作家の本は売れないことは、紙でも電子でも同じ。
 とはいえ、電子ブックはデータ保存する容量はそれなりに食うものの、かさばらないしデータを消さない限り絶版になることもない。無名の作家や古い作品でもよい作品は売れる……というような仕掛けというか売り方ができるかどうかが、ストアの魅力だったり売り方になる可能性を秘めていると思う。
 検索結果を機械的なアルゴリズムで表示するだけでは、バカの一つ覚えだ。味も素っ気もない。
 「この作品は面白い」という書店員のオススメがあれば、人気作家でなくても売れるかもしれない。そういう人間的な魅力が電子ブックストアにも必要なのではないか?
 アメリカでは、無名の個人作家の作品がベストセラーになるような事例も起きているようだ。日本でもそうした可能性が出てくるのなら、面白くなるように思う。

 ……と、それとは別に、最近感じていることに、電車内で文庫本を読んでいる人が増えているような気がする。
 スマホを手にしている人は相変わらず多いが、ちょっと前までは右にならえ的に、誰もがスマホやケータイを覗いていた。
 だから、文庫本を開いているのは逆に目立っていた。
 私の個人的な感想ではあるが、本を開いている人が少し増えているような気がする。
 電源不要でどこでも開ける「本」は、ある意味、完成されたメディアだ。経年劣化でボロボロになるまで、その機能を果たす。物理的にかさばるという欠点はあるが、不要になったら古本屋に売ればいいし、大切に取っておけば10年、20年経ってももう一度読むことができる。親から子に、孫にと受け継ぐこともできる。
 電子ブックはせいぜい数年の寿命だ。ストアによってはダウンロード期限を設けているし、端末が古くなってデータを移動できないとしたら、もはや価値はなくなる。
 自由なようで制約が多くて不自由な電子ブックは、一過性のメディアだともいえる。

 電子ブックの普及が進むと、紙の本の良さが逆に再認識されるような気もする。
 部屋の本棚に、読んだ本が並んでいるのは、「これだけ読んだぞ」という達成感の表現でもある。その本の厚みと重さは、得られた知識や感動の物理的なバロメーターなのだと思う。
 電子ブックに欠けているのは、たぶんそういう「感触」ではないだろうか。

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