恒例となっていた「全日本アニソングランプリ」が中止されるという。
歌に限らず、小説、マンガ、イラスト、写真、モデル、自主制作映画などのコンテストは、それこそたくさん行われているが、コンテストに一定の価値や権威を付加させるには、継続性も重要だ。
途中で途切れると、再開するのは難しくなる。
「第8回全日本アニソングランプリ」が開催見送りに – ねとらぼ
サイトでは「2007年より開催してまいりました『全日本アニソングランプリ』ですが2014年に予定しておりました『第8回大会』の開催は見送らせて頂くこととなりました。
(中略)
以前には優勝者の実力が不十分であるとして「アニソングランプリ結果に納得できない」といった批判の声
アニソングランプリの初期には、わりといい才能が登場していたように思うが、このコンテストがきっかけでプロデビューし、そこそこに活動はしているものの、際立った人は少ない印象だ。
レベルアップを図るのなら、「該当者なし」という結果も辞さないことだ。
小説やマンガの新人賞では、「該当者なし」というのはよくある。
何回かに渡って、該当者なしの場合もあり、あえて受賞者を出さないことでレベルを維持しようとしているのだろう。
過去、権威と実績を築き、著名な作家を輩出してきた新人賞がなくなり、そのジャンルの衰退に拍車がかかってしまったこともある。めぼしい新人が出てこなくなることで、新人賞の価値が下がったことが中止の一因だが、新人賞をやめてしまったことで、さらに有望な新人は出なくなってしまった。新陳代謝が起こらなくなれば、衰退していくだけだ。
中断されたコンテストが、数年後に再開される事例は少ないように思う。
継続性が途切れるということは、ブームや関心が薄れてきたことの結果でもあるからだ。コンテストが中止されれば、そのコンテストを目標としていた人たちの意欲も奪う。目標を別のコンテストに変える人も出てくるだろう。
毎年の恒例、継続性があるからこそ、そこを目標に頑張る人たちがいる。コンテストに参加して「夢」を実現したいと、未来を思い描く。コンテストの継続性がなければ、「目標」にはならない。
アニソングランプリの中止は、アニソンという特化したジャンルが、もはや特筆すべきジャンルではなくなったことの証左だともいえる。最近のアニメの主題歌は、アニメとは直接的には関係のないミュージシャンの楽曲であることが少なくない。
アニソンは、ゆるやかに衰退していくのかもしれないね。
ちょっと言葉が足りませんでした。
私が言いたかったのは、アニメの主題歌を歌う前から、ミュージシャンとして実績のある人たちを起用している……という意味での、アニメとは直接的には関係がない、つまりアニメ専門のミュージシャンではないということです。
ちなみに、私はアニメの新作はすべてチェックしてますし、アニメの主題歌のCDもかなり買っています。
>最近のアニメの主題歌は、アニメとは直接的には関係のないミュージシャンの楽曲であることが少なくない。
これは同意できかねます。
アニメ主題歌が「アニメとは直接関係ない楽曲」というのは一昔前の認識です。
最近のアニソンはむしろ逆にその作品をイメージさせるつくりになってます。
最近のアニメが「売ること」を目的としているのだから当然です。
作品と全く関係ない、ミュージシャンの曲なんか採用したら袋叩きに合いますよ。
選考のレベルを上げて、「該当なし」も辞さないようにするのは、私は反対。まず世間がガッカリしますし、「受賞者が無い」というのは商店で言うと「売り物が無い」状態で、当然盛り上がらなくなってしまいます。「どうせ受賞者を出す気が無いんだろ」と思われて、出場者も減ってしまうでしょう。また、該当なしを選択肢に入れることで、選考が安易に流れてしまう点も指摘しておきます。
アニソングランプリの優勝者が売れないのは、歌唱力のせいだけではないと思います。プロデュースやキャンペーンなど、歌手を売り込むには様々な手段が入ります。現在、歌手をフィーチャーしてヒットさせるのは、音楽業界の衰退もあって、難しくなっている。「歌が上手ければ売れる」というのは、発想が素朴過ぎます。
私はそもそも、アニソンに限定して歌手を売り出すこと自体が時代遅れと考えますがね。1990年代から、アニソンと言っても普通のポップスと何ら変わらなくなっていますので。