サッカーのインタビュー記事を巡って、その真偽についてなにやら論戦が繰り広げられている。
 発端は、Yahoo!の特集として、大々的に掲載された以下の記事。

サッカー専門誌「エア取材」横行か――作家の検証と告発 – Yahoo!ニュース

日本のサッカー専門誌で、「エアインタビュー」記事が横行していると、告発している人がいる。世界的な有名選手や監督への取材を実際はしていないのに、あたかも取材したかのように仕立てているとみられる記事が複数確認できると、ノンフィクション作家の田崎健太氏は言う。疑惑の中身や背景について、田崎氏に寄稿してもらった。(Yahoo!ニュース編集部)

 これについての反論記事が以下。

『エアインタビュー疑惑』という捏造記事について(岩本義弘) – 個人 – Yahoo!ニュース

『フットボール批評』(株式会社カンゼン発行)及び『Yahoo!ニュース』の原稿にて、ノンフィクション作家の田崎健太氏が指摘している『ワールドサッカーキング』(株式会社フロムワン発行)の選手インタビュー記事における「エアインタビュー疑惑」についてであるが、まずはこの場を借りて、改めて全くの事実無根であると断言させてもらう。

 どちらも長い記事なので、イントロ部分だけの引用に。Yahoo!記事はあまり長期間掲載はしないので、読めるのは今だけ。数か月後には読めなくなっているかも。

 両方の記事を読んで、どっちもどっちという印象。
 ポイントは2つ。

(1)どちらもインタビューの当事者ではないので、間接的な確認しかできていない。
(2)インタビューされた選手本人の証言がない。

 つまり、両者の言い分には、事実確認に対して、根拠が希薄なのだ。
 雑誌記事というか文章記事の真偽の確認が難しいのは、記者が記事を書き起こすことで、フィルターがかかってしまい客観的ではなくなってしまうことだ。
 選手の話を聞いた記者が、「解釈」したことを文字として起こす。録音はしているかもしれないが、記事として表現するのは記者の文章力なので、そこでバイアスはかかってしまう。インタビューしたのは事実だとしても、選手が言いたかったことが正確に文章化されている保証はない。

 その日、その時、インタビューは実際にあったのかどうかは、当事者にしかわからない。
 田崎氏も岩本氏も、その場にいたわけではないので、インタビューした記者の証言を信用するしかない。
 一番確実なのは選手本人に確認を取ることだが、それが簡単にはできないことが疑惑の発生要因になっている。

「オレ、そんなこといってねぇよ」
 というのか、
「ああ、そんなこともいったね」
 というのか、真実を知っているのは選手本人だろう。

 スポーツ紙でよくある表現として、「関係者によると……」という情報源。
 じつに曖昧なソースの明示だが、憶測で記事を書くときの常套手段でもある。関係者というのはかなり広範囲なくくりだ。スタジアムで警備のアルバイトをしている人だって、関係者に入ってしまう。そんな関係者が、又聞きの伝聞情報を「○○○○○みたいっすよ」といえば、「関係者によると……」という情報になってしまう。
 こういう書き方で記事にされ、選手本人が「そんなこといってない」と否定することがある。

 インタビューの信憑性を確実にするには、テレビカメラの前で選手本人が語ることだけかもしれない。
 記者のバイアスがかかった、間接的な文章記事は、多かれ少なかれ事実からは乖離する。文字にすると、微妙なニュアンスが変わってしまうからだ。
 たとえば……

(A)「知らないね」
(B)「知らねぇよ!」

 ……と、書くのでは、かなり印象は変わる。そこにどういう感情が込められていたかは、生の声を聞かない限りわからない。

 疑惑なのか捏造なのか?
 それを確かめるには、選手本人に聞くしかない。
 当事者ではない記者同士が論戦しても、なにも確かなことはわからない。

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