パナソニックが妄想する顧客像「アラサーエアコン」

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アラサー」とは、「around thirty (30)」(アラウンド・サーティー)の略で、27歳以上33歳以下(30歳前後)の人のこと(Wikipediaより)……ということなのだが、これは年代を表したものではあるものの、そのイメージは必ずしも限定されているものではないと思う。

しかし、パナソニックには明確な姿……パナソニックにとって望ましい姿があるようだ。

「斜め上」「どうしたんだ」 パナソニックの「アラサーエアコン」に驚きの声 – ねとらぼ

 「誕生! アラサーエアコン」――パナソニックが展開するこんな広告に、一部のネットユーザーから驚きや戸惑いの声が上がっている。

アラサーエアコンは、スマートフォンで外から電源を切る機能などを備えた同社のTシリーズエアコン。広告には3人家族が描かれ、「アラサー家族にうれしい機能」をうたっている。

▼パナソニックのHPよりスクリーンキャプチャ。

アラサーエアコン

アラサーエアコン

「今風っぽい」絵と家族像ではあるが、印象としては「昭和」だね。平成にならなかった「昭和76年の日本」というところか(笑)。ファッションも、いまいちハズしてる気がする。
仮に30歳の夫婦として、子どもは身長からすると小学校低学年くらいだろうか? 身長は低いが顔つきは10歳前後のような感じがする(頭部と体のバランスがおかしい。デッサンが狂ってるよ)。
このモデル夫婦は同い年、20歳で結婚、翌年出産、現在30歳で子どもは9歳……ということなのかな?
いったい、このモデル家族に該当する人が、どれだけいるのやら……。

エアコンの売り文句を「アラサーエアコン」と、30歳前後に限定するという、ニッチな戦略がすごい。アラサー以外は買うな、といっているようにも受け取れる。
電車の「シルバーシート」が空いていても、該当する年齢でないと座るのをためらうのに似ている。ときどき年齢限定のセールや企画商品があったりするが、そういう場合は対象外の人は恥ずかしくて買わないよね。ずうずうしい人もいるだろうけど、私は遠慮する方だ。

かつて、昭和30年代~40年代には、核家族として夫婦に子どもが2人というのがモデル家族だったが、実際にそういう家族は多かった。私の育った家族がそうだった。
共通認識としての家族像が、ある程度一般化していたから、ファミリー向けの商品はターゲットが明確だった。

だが、現在はモデル家族は限定的で、共通認識としての基準にはならない。
そこに、このような「アラサー像」を出されると、違和感や反発を覚える。

Twitterなどでコメントされているように、パナソニックの狙いは的を外している。
アラサーエアコンがあるのなら、アラフォーエアコン、シニアエアコンあるいはシルバーエアコンも出すのだろうか?
それぞれの世代の、モデル像も提示するのだろうか?

夫婦で子どもがいる家族ばかりじゃない。子どもがいない夫婦、結婚していない人、離婚してバツイチの人、母子家庭の人……等々、様々な家族像があるわけで、それらすべてを対象とした電化製品を提案していくのだろうか?

そこまで徹底するのなら、それはそれで面白い。
離婚した人向けエアコン……バツイチ・エアコン。
生涯独身向けエアコン……ロンリー・エアコン。
子どものいない夫婦向けエアコン……カップル・エアコン。うちはこれだ(笑)。
アラサーで子どもがいない夫婦向けには、機能を組み合わせて……アラサー・カップル・エアコンとかね。

ちなみに、スマホを使って、外からエアコンの電源を切る……という機能をつけるより、人感センサーをつけて部屋が無人になったら電源が切れるようにした方が効率的だと思うけどね。

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