過日、大きな被害をもたらした台風18号だったが、気象庁の出した「特別警報」は、いまいち危機感に乏しく有効な警報にはならなかったようだ。
命を守る行動を! 滋賀県、京都府、福井県に特別警報 運用以来初の発表 – ねとらぼ
気象庁は9月16日、滋賀県、京都府、福井県に大雨特別警報を発表した。今年8月30日に特別警報の運用を開始以来、初の発表となる。
(中略)
特別警報が発表された場合、「周囲の状況や市町村から発表される避難指示・避難勧告などの情報に留意し、ただちに命を守るための行動をとるよう」呼び掛けている。
うちの妻とも話したのだが、「特別警報」という呼び方そのものに、緊張感や危機感がない。
なにが特別なのかわからないし、日常的には「特別」という言葉は、悪いイメージではなく良いイメージとして使われることが多いので、警戒感がわかない。
大辞林 第三版で「特別」をひくと……
一 ( 形動 ) [文] ナリ
他と特に区別されているさま。一般と特に異なっているさま。 「 -待遇」 「 -な便宜を図る」二 ( 副 )
①
程度が際立っているさま。とりわけ。とくに。 「 -大きいのを手に入れた」
②
(下に打ち消しの語を伴って)それほど。大して。 「 -変わったこともない」
……というように、ネガティブなイメージは乏しい。むしろ、ポジティブな意味合いで、得をしたとか高級感のある様をイメージしてしまう。
呼称として、「特別警報」は緊急性や危険性を伝えるには不適切であるように思う。
日本語の特性というか、日本人的な傾向として、真意を曖昧にしたがるのが災いしている。
10年に一度の大きな災害が予測され、命を守るための行動が必要な、重要かつ緊急性のある情報の場合に、「特別警報」では言葉が軽すぎる。
警報というのも曖昧で、注意すればいいと解釈されてしまう。
こういう場合は、「緊急避難命令」でよいのではないか?
自主的な避難を促すのではなく、強く命令してもいいくらいだ。
大事に至らなければ、おおげさな命令を出したと批判されるかもしれないが、切迫感を伝えるには強制力のある言葉の方がいい。
「特別警報」を聞いて、戸惑った人も多かったと報道されている。
せっかく出す警報なのだから、有効に機能するように名称を再考した方がよいと思う。