電子ブック(電子書籍)に関する記事で、以下のような記事。
現在、書籍の取り次ぎをしているトーハンの動向なのだが……
トーハン:電子書籍取り次ぎサービス年内にも開始 - 毎日jp(毎日新聞)
出版取次大手のトーハン(近藤敏貴社長)は1日、電子書籍の取り次ぎサービスを年内にも開始すると発表した。
出版社から書籍の電子データを預かり、電子書籍端末や携帯電話、パソコンなど、それぞれの形式に加工したうえで、アマゾンやアップルのような電子書籍配信会社に送付する。配信会社からの集金や著作権の管理なども代行。紙の本と電子書籍の共存を目指し、書店のデジタル化も積極的に支援するという。
「電子書籍が普及すれば、取次会社などは不要になる」という業界関係者もいるが、トーハンの担当者は「配信会社は100近くあり、著者や出版社が個別に取引するのは難しい。中小も含め、どの出版社でも電子書籍に対応できるようにサービスを提供したい」と話している。
う~む(^^;)
なんか、勘違いというか、見当違いをしている気がする。
電子ブック時代になっても、既得権益を保持したいとの意向なのだろう。
電子ブックの最大のメリットがなにかといいえば……
発行の印刷費、中間マージンをナシにできること。
なんだよね。
電子ブックは制作コストを下げられるが、同時に売る価格も下がる。
価格が下がっても、中間コストがかからず、出版社や作家の取り分が多いから、ペイできるのがメリットなのだ。
そこに取次店が介入すると、コストが余計にかかってしまう。
それでは電子ブックのメリットが薄れてしまう。
また、「配信会社は100近くあり、著者や出版社が個別に取引するのは難しい。」というのは、ほぼナンセンス。
売れるのは2~3つだけだよ。
今は乱立しているが、いずれ淘汰される。
残るのは、アマゾンとAppleに、あと1つか2つ。
書籍の流通で、トーハンと日販が寡占しているのと同じことが、電子ブックでも起こるのは必然。
電子ブックが大きな市場になれば、配信のための手間や著作権の管理も、出版社内部でまかなえばいいだけのこと。アマゾンとAppleだけに絞るのなら、たいした問題ではないだろう。むしろ、出版社がそれをやらないと、存在意義そのものが問われてしまう。
そもそも現在の書籍取次会社に、電子ブックに対するノウハウがあるのか疑問だ。これから取り組むのであれば、出版社が自ら取り組むのと大差ない。出版社にしても、自前でノウハウを持っている方が、強みになるからだ。
電子ブックに関しては、取次は中抜きするに限ると思う。