「1円でも安く」の都政をしてくれれば……の続き

舛添都知事は、いろいろと新しいネタ、迷セリフを出してくれるね。
昨日の弁護士同伴の記者会見では……

「違法ではないが不適切」

この言葉は、今後疑惑問題が起こるたびに、使われる論法になりそう。
かつて、証人喚問で「記憶にない」というのが流行ったが、それに匹敵する方便だね。

今回の「第三者による精査」というのは、舛添氏が仕組んだ、「ひとり裁判ごっこ」なんだよね。
第三者といいつつ、弁護士を選任したのは舛添氏だし、証拠となる資料を提出したのも本人。強制捜査ではないので、不利になるような証拠は隠滅することが可能だった。事情聴取も強制権がなく、嘘をついてもいいし、知ってることをしゃべらなくても許される。
つまり、犯人が自ら捜査を仕切り、弁護士を雇い、記者会見という模擬裁判を開き、自らが被告と裁判長を兼ね、最後に判決を下す……という「ひとり裁判ごっこ」を演じた。この模擬裁判では、質問する記者が検察官の役を割り振られていたのだが、弁護側の主張を崩せるほどの記者はいなかったようだ。

弁護士の職務は、依頼人の利益を最大限保護することであって、真実を追究することではない。なにが真実であるかを裁定するのは、裁判所の仕事だ。

弁護士職務基本規程 (PDF形式46KB)(2004年11月10日臨時総会制定・会規第70号)

(正当な利益の実現)
第二十一条 弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める。

舛添氏が雇った弁護士で、弁護士費用を出しているのも舛添氏。金をもらっている依頼人に対して、著しく不利になるような調査や弁護をするとは思えない。雇われている時点で、中立の立場ではないからだ。
その結果としての発言が、「違法ではないが不適切」という論理。
舛添氏が欲しかった言葉は、「法的な問題はない」という自己弁護の裏付けだ。不適切というのは、真っ白ではなくグレーという意味合いでもあるが、黒というのも白というのも不都合なので、グレーにすることで曖昧さを残した形。おそらく、裁判になった場合のことを想定していると思うので、部分的に間違いは認めるが、違法性はないことの言質を取っておこうという意図だろう。
攻め手が弱かった検察官役の記者に対して、弁護側は有利に模擬裁判を進行させたので、この場での勝者は舛添氏となった。

擁護するかと思われた都議会自民党からも批判が出ている。

自民・神林氏「あまりにせこい」…都議会で質問 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

舛添要一知事による政治資金の支出について、前日に弁護士による調査報告書が公開され、一部の支出が「不適切」と認定された。各会派とも報告書の内容を深夜まで分析し、代表質問に臨んだ。

トップバッターで登壇した自民党の神林茂総務会長は「あまりにせこい。都庁には多くの怒りの声が寄せられている」と切り出し、前日の記者会見について「説明責任を果たしたとは到底、言い難い」と述べた。その上で、弁護士による調査について「不利な証言をしている人に接触したのか不明だ。客観性は保てるのか」と問いただした。

ここで批判しないと、自分たちまで同じ穴のむじなと思われる……という意図かな。
舛添氏が「第三者」として「弁護士」を指名したのは、裁判を見据えてのことと、弁護士という権威を振りかざす意図があったのではないか?
これは「弁護士トリック」だ。
法律に詳しい、権威ある弁護士が違法ではないと結論付ける……というトリックだ。実際、選任された弁護士は、なかなかの経歴の持ち主だ。面識はないといいつつも、肩書きと経歴は見たはずだ。これがまったく無名で特筆する経歴もない弁護士だったら、発言に権威がつかないので、説得力が乏しくなってしまう。そこまで計算していたと思う。

逃げ切りを計ろうとしている舛添氏だが、自民党が援護してくれないとなると前途多難だろう。
権力を求めて、都知事という権力者に上り詰めた舛添氏。文春では過去の醜聞が暴露されているようだが、嘘も汚いことも醜いことも、権力を手に入れるためには必要だったのかもしれない。
そうやって手に入れた都知事の座。トップリーダーと自負した座だ。
それを手放したら、地に墜ちるしかなくなる。
墜ちたら、二度と頂点には登れない。
だから、しがみつく。
「せこい」のは貧乏性だからだ(笑)。貧しいことの辛さ、力がないことの惨めさを知っているから、虚勢を張る。
権力は麻薬と同じ。その「力」を手に入れると、自分がスーパーマンにでもなったように感じるのだろう。権力者は、権力に蝕まれていく。それは手放せない魔力なのだと思う。

任期満了まで続けられるのか?
それとも、引きずり下ろされるのか?
ひとつだけ確かなのは、「不適切な知事だった」と記憶されることだ。

LINEで送る
Pocket
LinkedIn にシェア