VIVANT|TBS系日曜劇場

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 なにかと話題になっていた「VIVANT」。
 もちろん見ていた。
 謎解きや伏線回収など、考察班が盛り上がっていた。

 面白かったのは確かだが、よかった点と、よくなかった点をいくつか。

全10話のうち、序盤と終盤では別のドラマのようだった。

 シリーズは3つの展開に分けられる。

  1. 第1話〜3話までが、バルカ編。
  2. 第4話〜7話までが、日本帰国編。
  3. 第8話〜10話までが、謎解明編。

 中央アジアの架空の国、「バルカ共和国」を舞台とした序盤は、モンゴルロケの壮大な風景を見せるロングショットの構図が多く、それが物語の広がりをイメージさせていた。
 屋外でのシーンが多く、アクションシーンも多かった。それが物語のスケールを大きく見せてもいる。これが今までの日本のドラマとは一味違うぞ、という期待感を呼んでいた。
 この段階では、いくつもの謎と伏線が仕掛けられていた。それが視聴者の好奇心をくすぐった。
 絵作りという点において、第3話までは海外ドラマに匹敵するクオリティを出していた。

 このドラマを象徴するシーンは、砂漠を横断するくだりだろう。

VIVANT(砂漠シーン)

VIVANT(砂漠シーン)

 これが典型的だが、モンゴルロケでなければ撮れない映像だ。生きるか死ぬかのサバイバルが、緊張感をもたらした。
 第3話までは、怒濤のアクションシーンが見せ場になっていた。

 第4話以降、日本に帰国すると、別班、公安、テントの三つ巴のスパイ合戦になっていく。
 国内ロケが中心となり、しかも室内でのシーンが増えているので、空間的な広がりが少なくなってしまった。
 アクションシーンが減った代わりに増えたのが、会話劇だ。キャラクターのモノローグも含めて、セリフが多くなり、「見せる」シーンではなく「聞かせる」シーンが増えてしまった。

 第8話以降の謎解明編になると、さらに会話劇の比重が高まった。謎を解明するためには、それぞれのキャラクターの過去に話を戻す必要があり、回想シーンも増えた。
 序盤でドーーンと視野を広げたモンゴルの壮大な風景から、徐々に視野が狭くなり、個人、特に主人公の乃木の視点へと内向きになっていった。

 個人的には、終盤の謎解き編になってからは、あまり面白くなくなった。
 日本の刑事ものや探偵ものにありがちなパターンに陥ってしまったからだ。
 いろいろな謎を、乃木や野崎が解いていくわけだが、その過程は会話劇で進行する。探偵ものによくあるパターンで、容疑者を勢揃いさせて、「犯人は君だ」と、動機やトリックを解説して解いていく、あのシーンをアレンジしたやり方。

 最終回で、フローライトをめぐるバルカ政府との交渉シーンでは、会談のテーブルでのやりとりだった。主導権の取り合いで、恫喝はあるものの基本的には話し合いで、かなり紳士的。
 それを見ていて、
「ああ、日本的だなー」と思った。
 テント側の裏工作で、主導権を取れなかったバルカ側が、あっさりと引き下がるなんて、現実の非公式外交交渉ではありえない気がする。なんとしても利権をものにしたいバルカ側は、形の上では交渉のテーブルにつきながらも、成果を確実なものにするためには、交渉相手を武力で制圧することを考えるだろう。内戦が絶えず、政情不安な国であれば、なおさら。

 もし、これがアメリカ製のドラマだったら、最後は交渉決裂となり、武力衝突で決着だろうね。なんでも武力で解決するのがアメリカ的でもある。
 決着のつけ方が平和的なのが日本的だが、逆にそこが物足りなさにもなっている。海外向けも意識して作られたという本作は、あの決着のつけ方に欧米の視聴者は納得できないように思う。「甘い!」といわれそうだ。

 シーズン2が決まっているらしく、2025年になるとか。
 シーズン1は謎解きが柱になっていたが、次は別の柱が必要だ。バルカが舞台として出てくるのなら、内戦が再び勃発して……という展開かな?

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