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五輪エンブレム問題で、報道メディアが果たせなかった役割」の続き。

五輪エンブレムを一般公募して、公開審査する場合の、商標権の取得についての記事があった。

新五輪エンブレムをオープンに審査する場合の商標上の考慮点について(栗原潔) – 個人 – Yahoo!ニュース

しかし、オープンな公募をということで応募作を事前に公開してしまうと、よからぬ輩が先に勝手に商標登録出願してしまうリスクが生じます。商標は先願主義なので、先に同じ(または類似の)出願があると、後の出願は登録できません。勝手にやられた出願を拒絶させる、あるいは、登録を無効にする手段はありますが、時間がかかりますし100%確実ではありません。また、日本だけでなく、海外(特に中国)にも気をつける必要があります。

この問題を防ぐためには応募作を公開前に出願して、先に出願日を押さえておくことが必要です。全商品・全役務で出願すると出願料金は1件当たり40万円弱です。たとえば、最終選考まで非公開で審査しておいて、最終選考案の3点を商標登録出願しておいてから一般公開というのはまだ何とかなりますが、応募作1000点全部を最初から公開し、それを事前に全部商標登録出願しておくというのは費用的にちょっと非現実的と思われます。

最終候補作をいくつ選ぶかによって、その登録料がかさむのはわかるけど、1000点というのは多すぎだろうし、3点では少なすぎると思う。100点でも多いのだろうけど、せめて10点くらいなら費用的にも現実的なのでは?

商標権の「出願時の特例」は適用できないのだろうか?

商標法

(出願時の特例)
第九条  政府等が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するものに、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会に、又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国のいずれにも該当しない国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するものに出品した商品又は出展した役務について使用をした商標について、その商標の使用をした商品を出品した者又は役務を出展した者がその出品又は出展の日から六月以内にその商品又は役務を指定商品又は指定役務として商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品又は出展の時にしたものとみなす。

法律の条文は、なんでこんなにわかりにくいんだろう(^_^)b
この特例をエンブレム選考に適用すればいいのでは?
条文のいう「博覧会」は、英語では「exhibition」だが、exhibitionの意味は、「展覧会,展示会,ショー,共進会,博覧会」である。
エンブレムの公開審査を、「五輪エンブレム公開選考展示会」とでもすれば、このexhibitionに出品したエンブレム候補作は特例に該当し、正式出願に6ヶ月の猶予ができる。

拡大解釈しすぎかな?
そこはそれ、特許庁と交渉してみるのもいいのでは?
もし、特例の適用が可能なら、もう少し多い数の候補作を公開投票できると思うのだけど。その場合、ネット投票でなくても、実際に展示会をやって、会場での投票でもいいかもね。全国各地で同時に展示会をすればいい。

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