Categories: 政治・社会

カツカレーが政治問題なのか?

 自民党の総裁選は、さながら総理大臣の選出のような錯覚を覚えた。
 自民党が政権を握っていたときには、総裁=総理大臣だったが、現在は違う。しかし、民主党の代表選と比べると、自民党の総裁選は次期首相候補のような感覚になってしまう。
 報道の扱いも、自民党の方が大きかったように思う。
 マスメディアの捉え方、伝え方で、イメージが左右されてしまうという例だろう。

 報道メディアは「中立」であるとされる。
 だが、実際には中立ではなく、スタンスはどちらかに偏る。偏る度合いにもよるが、立ち位置がどこかになければ、「主張」はできないのだし、どこに立っているかで見え方や見えるものが違ってくる。
 だから、報道はメディアは「中立」でも「公正」でもない。

 日本の政治は右往左往していて、明確なビジョンに欠け、外国に対して弱腰なことが多い。政治家が無能なのか、政治が三流なのか、それが国民性なのか……。
 三流の政治だとしても、その政治を報じる報道メディアも三流ではないのか?
 ……と、思ってしまった記事が以下。

「高級カツカレーにネット非難」記事に怒りの声 「これぞ偏向報道」「どこのネットだよ」 – ねとらぼ

 nikkansports.comが掲載した「安倍新総裁、高級カツカレーにネット非難」という記事に、ネット民から非難が噴出している。記事はすでに1万回以上リツイートされているが、コメントの大半は「どこのネットだよ」「非難なんてしてません」など、記事の内容について疑問視するものだ。

 日刊スポーツのレベルがそもそも低いというのはともかく、報道メディアはネットを見下す傾向にある。自分たちの方が「偉い」と思っているのだろう。ネット民が軽く扱われ、安倍氏を批判するネタとして利用し、ネット民に責任を転嫁しているようにも思える。
 この記事の元ネタを探してみると……

安倍新総裁、高級カツカレーにネット非難 – 政治ニュース : nikkansports.com

 26日の自民党総裁選直前、都内のホテルで決起集会を行った安倍晋三総裁(58)が、昼食に高級カツカレーを食べていたと一部の情報番組で報道され27日までに、インターネット上で“カツカレー騒動”が勃発している。ツイッターなどでは「(値段が)高すぎる」「既に庶民感覚を失っている」などと安倍氏への非難が出ている。過去にも麻生太郎元首相の都内一流ホテルでの高級バー通いが非難されたことがあり、安倍氏にとっては早速、痛い船出となった。

 安倍氏は26日、東京・ホテルニューオータニで行われた決起集会に出席。支持者を前に、総裁選に「勝つ」ための験担ぎとしてカツカレーを勢いよく頬張った。この様子をMBSテレビの情報番組の男性リポーターが「通常のカレーだけで3500円、カツを乗せると特別オーダーでもっと高くなるそうです」などと伝えたことが“カツカレー騒動”の発端となった。

 放送直後から、ツイッターやフェイスブック上などで「安倍さんは全く庶民感覚がない」「高級カレーをテレビ前で食べるなんて一般人を無視している」などとの非難が出た。ただ、一部には「3500円カレーを食べてみたい」という書き込みもあった。その後、ネット上で同ホテル内にあるコーヒーショップ「SATSUKI」のポークカツカレーのフィレ(3200円、サービス料別)ではないかとの情報が流出。同品は、定価に10%のサービス料が追加され3520円で提供している。

 ……ということらしい。
 3500円のカツカレーが高いか? という話。
 安いとは思わないが、美味しいトンカツだったらそのくらい出してもいいと思えるような額だろう。回転寿司で値段の高い皿を腹一杯食ったら、このくらいの額にはなる。
 験を担いだカツカレーなんだから、ちょっといいもの(高いもの)を食べるというのは、庶民でもすることだと思う。

 批難があったとしても、それがどのくらいあったのかの証拠を見せないと、説得力が乏しい。1件の批難でも「安倍氏への非難が出ている」という書き方はできてしまう。嘘ではないが、「インターネット上で“カツカレー騒動”が勃発している」という結論を導き出す根拠にはならない。

 この記事の書き方で見えてくる、日刊スポーツのスタンスは、「自民党は支持しない」ということなのだと思う。だから、批判するネタを探していて、出てきたのがこの記事ということではないか?
 ねつ造とはいわないが、誇張ではある。
 政治報道で、カツカレーごときを問題にするな、といいたい。

 そもそも「庶民感覚」という定義は、なんなのだ? 年収いくらまでが庶民で、いくら以上が庶民ではないのか、明確にしてもらいたい。仮に、年収500万円以下が庶民だとすれば、500万円以上の年収がある人は庶民ではない……ということになる。
 日刊スポーツの記者の年収はいくらなのだ? 500万円よりは多いと想像するが?
 昨年のサラリーマンの年収が……
サラリーマン 平均年収下がる NHKニュース

国税庁が、去年1年間を通して民間企業で働いた会社員やパート従業員ら4566万人を調べたところ、平均年収は、前の年より3万円少ないおよそ409万円でした。

 ……という記事がある。
 庶民の線引きが500万円というのは、妥当な数字だろう。
 安倍氏の年収は、議員報酬だけでもすでに庶民ではない。庶民ではないのだから、高いものを食っても問題はないじゃないか。むしろ、貧相なものを食べている方が、情けなくなってしまう。

 ともあれ、カツカレーを問題にするような報道メディアでは、政治は論じられない。スポーツ新聞なんだから、政治なんてそもそも論じられない……のかもしれないが。スポーツ新聞にとっては、政治家も芸能人も同レベル扱いということか。
 高級カツカレーを食べることで、選挙に勝ち、政権をとれるのなら、毎日でも食え!(^^)
 そして、カツカレー政権を樹立するのだ。
 カツカレーパワーで、竹島も尖閣もガンガン強気にいけ!
 カツカレーが日本を救う!……かもしれない。

 記者は日刊スポーツが定義するところの「庶民」という自覚があるようだから、金輪際、3500円のカツカレーは食べないことだ。

諌山 裕

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