ビットコインを巡って、いろいろと問題が起こっている。
出始めの頃は、ごくごく一部のマニアックな存在だったが、いつしか投資対象になるまでに成長してしまった。
胡散臭いというイメージもつきまとうが、実体がないということでは胡散臭いとはいえる。仮想通貨は「無」から「有」を生み出しているともいえるので、「通貨とはなにか?」という根源的な問題提起を投げかけている。
ニュース等で取り上げられることも増え、そのときのイメージに実体のあるコインを映像として使用することが、そもそも大きな誤解の元になっていると思う。
日本仮想通貨事業者協会などによると、ネット上で取引できる仮想通貨「ビットコイン」のシステムをめぐる事業者などの意見対立から、一部が1日夜、ビットコインを2つの仮想通貨に分裂させ、新たに「ビットコインキャッシュ」をつくった。
一般の人は、このようなコインが実在すると思ってしまうのではないか?
報道として、このイメージの植え付けが正しいとは思えない。
まぁ、ようするに報道する側も、ビットコインの本質がわかっていないことの現れでもあるのだろう。
過日は、NHKのクローズアップ現代でも取り上げていた。
“仮想通貨バブル” 未来のお金の行方は? – NHK クローズアップ現代+
仮想通貨が高騰している。代表格・ビットコインの価格は年初の約3倍に。仮想通貨全体の時価総額も6倍以上にふくれあがり、10兆円を越えた。主婦なども投機目的で購入。億単位の利益を得る人が次々と現れる一方で、悪質な業者に購入を勧められるなど、トラブルも増えている。そして今、ビットコインは大きな転機を迎えている。8月1日に、分裂する可能性があるというのだ。果たして仮想通貨は“次世代のお金“になれるのか?
番組では、ビットコインで儲けている人たちに取材していたが、この番組を見て、これからビットコインで儲けようというのは、たぶん遅すぎ(^_^)
価格が高騰する前からビットコインの取引をしていた人たちが、結果として儲けたわけで、すでにかなり高騰してしまっているため、ここからさらに10倍〜20倍と高騰することは考えにくい。
分裂騒動もあったことで、相場は乱高下しつつも低調に推移するように思う。
市場として成熟していなかったことで、高騰する余地があったわけで、成熟してくれば為替や株のように、相場の振幅は抑制されるだろう。
仮想通貨が現実の通貨に換金できることで、儲けが現実になる。
そもそも仮想通貨の価値と現実の通貨の価値を、あるレートで置き換えられるようにしたというのが、斬新ではあったが無謀でもあったと思う。
ゲームの世界では、そのゲーム内でのみ使用できる仮想通貨は以前からあった。それは現実世界の通貨感覚を、ゲームの世界で表現するための手法でもあった。
防具を買うのにいくら、魔法のアイテムを買うのにいくら……と、それらはゲームの中の遊びでしかない。基本的にはオモチャのお金と同等だった。
平原に出て、モンスターを倒すとお金を落としていき、それを貯めてアイテムを買う。ゲームの中でどんなに金持ちになっても、それはゲームの中だけで完結していた。
ビットコインに代表される仮想通貨は、仮想空間から現実空間に直接的な影響力を持つようになった。現実の通貨に換金できるようにしてしまったからだ。
為替や株などの世界でも、行われている取引はデータの移動だけだ。売買といっても、現物を用意するわけではないし、ネットワーク上で数字が動くだけ。金融はお金の単位のデータをやりとりする世界になっている。
仮想通貨が現実通貨を浸食しているというよりは、現実通貨が仮想通貨化したという方が正しいのかもしれない。
そこに仮想通貨のビットコインが加わっただけ。
通貨ってなんだろう?
世の中、お金で回っているが、あらゆるものの価値がお金で換算されるのも、どこか虚しい気もする。