地球外生命の探査と発見は、長年の夢でありロマンだ。
広大な宇宙というが、想像を絶する広さである。
無数の星々があり、生命を宿す惑星が地球だけと考えるのは、科学的に不合理な話だ。
宇宙人がいるかどうかの話ではなく、自己増殖して繁殖する微生物を含めた生命の話。
おそらく、生命は宇宙にありふれていて、生命の基本となる仕組みも多様なはずだ。地球型の生命だけが、唯一の形ではないからだ。
宇宙スケールでいえば、太陽系内は家の庭の中の範囲だ。
その庭の中の土星の衛星タイタンに、地球型ではない生命がいるかもしれないという研究の記事。
土星の衛星タイタンに「ビニル製」生命の可能性 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
土星の衛星タイタンの極地では、冬になると有毒の分子が激しい雨となって降り注ぐ。そして条件が整えば、この分子が集まって、地球上の生命が持つ細胞膜のような、膜状の構造を形成する可能性がある。
この有毒分子はシアン化ビニル(アクリロニトリル)と呼ばれるもので、タイタンの大気圏上部で形成される。
(中略)
それでも、シアン化ビニルが理論上、膜に覆われたボールを形成する力を持つという事実は、タイタンにこの物質が大量にあることがわかった今、さらに注目度を増している。量だけを考えた場合、リゲイア海には少なくとも360億匹のダイオウイカを作れるだけのシアン化ビニルが存在する。今回の発見は、新たな探査機をタイタンに向かわせる大きなきっかけとなるかもしれない。
好奇心を多いにそそられる。
マイナス180℃の極低温での生命がいたら、生命の定義そのものが変わる。しかも、地球型生命にとっては有害な化学物質による生命。
タイタンに人間を送ることは、現在のロケット技術では不可能だが、自律移動可能なロボット探査機を送りこむことは可能だ。火星に送りこんだキュリオシティのように。
問題は、予算と極低温でも稼動できる探査機の開発だ。
タイタンに投下されたホイヘンス・プローブは、着陸後、1時間半しか稼動できなかった。
仮に、シアン化ビニルをベースにした生物がいたとしても、巨大化はしないだろうね。極低温であることで、エネルギー代謝が著しく制約されるだろうし、動きものろいのではないだろうか? いるとすれば、細菌のようなものか、大きくても粘菌のようなものかなと想像する。だから、記事中のたとえとしてダイオウイカを持ち出すのは、ちょっとイメージが違う気がする。それが量的なたとえだとしてもね。
記事中に出てくるタイタンの湖の「リゲイア海」の写真が以下だが……
Mystery Feature Evolves in Titan’s Ligeia Mare
上空からの写真なので、降り立ったときにどのように見えるのかはわからない。
そこで、この写真を元に3Dの地形図を起こしてみた。写真はレーダー観測による高低差の画像になっているので、3Dで地形を再現することができる。
ただし、手持ちの3Dソフトの限界もあって、おおざっぱな3Dではあるが……。
アングルとしては、左上の岸辺から、右下45度方向を見た感じ。
臨場感を出すために、エタンの雨が降っているシーンをイメージした。写真に写っている範囲は限定的なので、遠景にあるかもしれない山を加えている。
まぁ、こんな風景かな……という想像図ということで。
実際に人間がタイタンに降り立ったら、肉眼的にはかなり暗いと思うが、カメラで撮るなら高感度でクリアに撮れるだろう。
タイタンに探査機を送ること自体が難しいが、いろいろな風景が見られるといいなー。
私が生きているうちには実現しそうにないが……(×_×)