マスク着用と感染防止の関係は恣意的解釈

感染防止対策として、マスク着用が求められているが、その効果がどのくらいあるのか、明確なエビデンスは諸説あって確かではない。

しかし、マスク信者はマスクが正義といわんばかりだ。
そのため、あるデータを見るときに、いかにもマスクに効果があったと恣意的に解釈してしまう。
その典型が以下の記事。

If you don’t mask, you should keep SD and don’t talk.~COVID19感染予防の基本はマスク・手洗い・消毒~:食の安全と安心を科学する会(SFSS)

日々の新規感染者数のピークが、イタリアでは3月下旬、フランスでは4月中旬、英国では5月上旬と、少しずつ遅れているのがわかると思うが、このタイミングと各国のマスク着用率が上昇し始めた時期がリンクしているように見える

この調査データが各国のすべての国民の外出時マスク着用率をどの程度反映しているかはわからないため、本データのみで判断することはできないが、日本も3月中旬まで60%前後だったマスク着用率が4月上旬にかけて80%を超えてきたことと、感染拡大の第一波が抑制されてきたのがリンクしているように見える。イタリア・フランスのマスク着用率の高さと新規感染者数の抑制傾向をみても、大半の市民が外出時マスク着用を励行することは、新型コロナ感染拡大を抑える方向に働く要因になっている可能性は十分にあると考える。

他の要因を排除していない条件下でのデータで、マスクが有効だったと判断するのは科学的エビデンスではない。これは「マスクは有効」という結論を導くための、都合のいい解釈でしかない。

ここ最近、気が緩んでいるとかなんとかいわれるものの、マスクの着用率は私の観察では99%くらいだと思われる。マスクの着用方法が不十分だったり、効果を期待できない布マスクやウレタンマスクも少なくないが、とりあえずマスクはしている。

この状況下でも、感染者数が増えているのに、マスクが有効というのは説得力がない。
感染した人は、すべてノーマスクだったのか?
それはたぶん違う。ほとんどの人はマスクをしていたはずだ。それでも感染したのだろう。

夜の街が悪役にされているが、ウイルスは歌舞伎町で発生しているわけではなく、別の場所で感染した人が職場である歌舞伎町に持ちこんで、クラスターの原因になっている。
では、もとの感染源はどこだったのか?
そこの解明がされていない。
もしかしたら、それは電車だったのかもしれないのに。

例示されている感染者数のグラフは、感染が始まってから一気にピークに達し、その後ゆるやかに減っていくという、通常の感染パターンを踏襲しているに過ぎない。際限なく増え続けることはないんだ。たまたま感染がピークアウトした時期と、マスク着用の呼びかけが重なっただけ、という解釈の方が妥当だろう。

別の例で、例年のインフルエンザを見てみればわかる。
2019-2020シーズンは、新型コロナと重なっているので、2018-2019のデータを取り上げると以下である。

東京都感染症情報センター » インフルエンザの流行状況(東京都 2018-2019年シーズン)

定点医療機関当たり患者報告数  2019年9月1日(第35週)まで

2018〜19年のこの時期は、マスク着用率は5割以下だった。インフルエンザが流行していて、死者が数千人出ていても、誰も気にしていなかった。マスクは少数派だったのだ。
つまり、この時期はノーマスクが主流だったにもかかわらず、1月の中旬にピークを迎えたものの、その後はガクンとピークアウトしている。これにはマスク効果は関与していない。

新型コロナでも感染の仕方はあまり変わらないので、同様のことが起こっているだけである。
そこにマスク効果はあまり関係ないと思われる。
例年のインフルエンザ感染者数は、国内では1000万人に及ぶとされている。新型コロナよりも感染力は強いわけだ。それでも、この程度であり、マスクがあってもなくても大勢に影響はないと考えられる。

【新型コロナ】感染力を増したG系統は重症化しにくいらしい」で触れたが、舞台クラスターの一件では、観客は全員マスクをしていたにもかかわらず感染していることから、マスクの効果はなかったともいえる。接触感染の可能性も排除できないが、マスクの過信は逆に危ない気がする。

新型コロナ、空気感染の可能性」で取り上げたように、空気感染しているのなら、飛沫核は通常のマスクは素通りである。WHOも空気感染の可能性に触れている。
マスクで感染予防というのであれば、N95マスク以外は有効ではない……というのが正しい。
布マスク、ウレタンマスク、不織布マスクでは不十分なのだ。

「マスクが正義」という主張や風潮は、差別的・抑圧的な社会を助長するように思える。
マスク警察と呼ばれる、マスクをしていない人への威嚇や恫喝は、男性が女性に対してや、オッサンが子供に対してなど、自分より弱い相手に対するものだ。マスクの有無は、弱いものイジメの口実にされている。

マスク着用は、本来の目的から外れて、仲間はずれにされないため、いちゃもんをつけられないため、同調圧力に逆らえないため……と、歪んだ社会の象徴になっている気がする。

それでいいのか?

諌山 裕

View Comments

  • 緊急事態宣言が解除されたいまとなっても、
    込んだところへは行かないし、
    昼でも夜でも、
    外食屋も居酒屋も(ほかもろもろ)行っていない。
    昨年末から現在まで、マスクは一回もしてないけど、
    風邪もインフルもコロナも、何も症状は出ていません。

    マスクは頼りにならないだろうなー、と判断し、
    まさに不要な外出は控えていただけ、ですけれど。
    同調圧力なんて、知らんぷりしてます。

    • 私もそうです。
      飛沫を飛ばさないように、咳をしたり会話をしたりしなければいいわけで、マスクでなくてもいいわけです。
      「咳エチケット」だったはずなのに、なぜか「みんなマスク着用」にすり替わってしまいました。

Recent Posts

「地球外知的生命体は宇宙で希少な存在」なのか?

 地球外知的生命体が存在するの…

2週間 ago

SHOGUN -将軍-|Disney+

 エミー賞を受賞して、大注目さ…

2か月 ago

光より速い素粒子「タキオン」は存在するか?

 SFのネタとしてよく登場する…

3か月 ago

2024/08/31のアメッシュ動画

 昨日(8月31日)、関東の天…

3か月 ago