新生日本代表は、テストマッチの5試合を終えた。
顔ぶれと年齢が若返って、躍動感のあるチームだと思う。
代表引退宣言をしたベテランや、所属クラブ事情で呼ばれていない選手もいるが、ロシアW杯を戦ったチームとは、まるで違うチームになった感じだ。
この11月の2連戦に関するサッカー評論家たちの記事を読んだが、中でもひどかった記事が以下。
森保Jの最弱キルギス戦圧勝に何の意義があったのか?(THE PAGE) – Yahoo!ニュース
最新のFIFAランキングを見れば日本の50位に対して、初めて顔を合わせるキルギスは90位。数字以上に実力が乖離していた中央アジアの小国と、あえて年内最後の相手としてマッチメークした背景には、来年1月にUAE(アラブ首長国連邦)で開催されるアジアカップ対策がある。
(中略)
しかし、アジアカップ対策を講じるのならば、主力組で臨まなければ意味をなさない。果たして、森保監督は現時点におけるベストメンバーを先発させ、1-1で引き分けた16日のベネズエラ代表戦(大分スポーツ公園総合競技場)から、先発全員を入れ替える決断を下した。
当初のプランを変更させたのは、ベネズエラ戦の後半にある。売り出し中の2列目トリオ、中島翔哉(ポルティモネンセSC)、南野拓実(ザルツブルク)、堂安律(FCフローニンゲン)と1トップの大迫勇也(ベルダー・ブレーメン)がベンチへ下がってからは、特に攻撃面でパフォーマンスが著しく低下した。
見出しは記者本人が考えたのではないのかもしれないが、対戦相手に対して「最弱キルギス」という言い方は失礼だし尊大だ。
サッカーの基本は、戦う相手に対するリスペクトを忘れないことではないだろうか?
いまの日本とて、FIFAランク50位なのだから、そんなに威張れるレベルにはない。
9月のコスタリカ戦、10月のウルグアイ戦と、格上に勝ったからといって、遠い日本まで来てくれた相手との試合だ。ホームで戦う日本にはアドバンテージがある。
ドヤ顔したいのなら、ウルグアイまで行って、アウェイで勝ったときにしなよ。
格上相手との親善試合で、相手国のホームまで出向くことは、めったにないのが日本チームの現状。
格上相手からしたら、格下チームの日本を、わざわざ呼ぶのは「意味がない」ということかもしれない。マッチメークは日本から相手国に「来てください」とお願いしているわけで、日本が呼ばれることはめったにないよね。
記事の筆者の藤江氏は、キルギス戦の意義がなかったと評価しているが、代表の試合に意義がない試合などないと思う。
相手が強ければ意義があり、弱いと意義がないなどという問題ではない。
それをいっちゃうと、Jリーグでの試合でも、上位チームとの試合は意義があるが、下位チームとの試合は意義がない、なんてことになってしまう。
サッカーは点を取り合うゲームだが、勝つのは点をより多く入れたチームであり、強いか弱いかが最初から決められているわけではない。
勝ったチームが、強いチームなんだ。
チームというのは、常に変化し続けるもので、完成形はないと思っている。
そういう意味では、テストマッチは文字通りテストであり、よりよいチームにしていくための試行錯誤のステップだ。
なにより、代表チームはそろって練習したり試合をする機会と時間が少ないから、相手がどんなチームであれ、実戦経験を積むことに大きな意義がある。チームとしての完成度は、試合の中で醸成されるものだからだ。それを意義がないといってしまったら、試合をすること自体に意味がなくなってしまう。
5試合を終えて明らかになったのは、海外組と国内組のレベルの差だろう。
これは海外に移籍する選手が増えてからの、長年の課題にもなっている。
海外の厳しい環境でサッカーをしている選手たちは、揉まれて、逞しく、レベルアップしていくが、国内組はそれに追いつかない選手が少なからずいる。Jリーグの温室育ちでは、伸びるものも伸びないということが立証されている形だ。
来年のアジア杯に向けて、選手予想が出ている。
日本代表の最新序列に見る「アジア杯23人当落予想」 評価急上昇で”滑り込み選出”は? | Football ZONE WEB/フットボールゾーンウェブ
【序列&アイコン】
序列=上から高い順
◎=メンバー入り濃厚
○=当落線上
△=現状ではメンバー入り困難■GK(予想:3枠)
◎ 東口順昭(G大阪)
◎ 権田修一(鳥栖)
◎ シュミット・ダニエル(仙台)■左SB(予想:2枠)
〇 長友佑都(ガラタサライ/トルコ)
◎ 佐々木翔(広島)
—————当落線—————
〇 山中亮輔(横浜FM)
△ 車屋紳太郎(川崎)■右SB(予想:2枠)
◎ 酒井宏樹(マルセイユ/フランス)
◎ 室屋 成(FC東京)■CB(予想:4枠)
◎ 吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
◎ 槙野智章(浦和)
◎ 三浦弦太(G大阪)
◎ 冨安健洋(シント=トロイデン/ベルギー)
—————当落線—————
△ 植田直通(セルクル・ブルージュ/ベルギー)■ボランチ(予想:4枠)
◎ 遠藤 航(シント=トロイデン/ベルギー)
◎ 柴崎 岳(ヘタフェ/スペイン)
◎ 青山敏弘(広島)
〇 守田英正(川崎)
—————当落線—————
〇 三竿健斗(鹿島)
△ 大島僚太(川崎)
△ 山口 蛍(C大阪)■左サイドハーフ(予想:2枠)
◎ 中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル)
◎ 原口元気(ハノーファー/ドイツ)■右サイドハーフ(予想2枠)
◎ 堂安 律(フローニンゲン/オランダ)
◎ 伊東純也(柏)
—————当落線—————
△ 伊藤達哉(ハンブルガーSV/ドイツ)■トップ下(予想:2枠)
◎ 南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)
〇 北川航也(清水)
—————当落線—————
△ 天野 純(横浜FM)■1トップ(予想:2枠)
◎ 大迫勇也(ブレーメン/ドイツ)
〇 杉本健勇(C大阪)
—————当落線—————
〇 浅野拓磨 (ハノーファー/ドイツ)
△ 小林 悠(川崎)
△ 川又堅碁(磐田)
△ 鈴木優磨(鹿島)
予想としては順当だと思う。
それぞれのポジションで、GKを除いて、海外組が多数を占めるのは見ての通り。
ここまでの5試合で呼ばれていない海外組が、今後呼ばれるのかどうか。
香川や岡崎には、もう出番はないのか。
無敗はどこまで続くのか。
来年に期待したい。