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【サッカー】マリ戦、ウクライナ戦を終えて

日本代表の欧州遠征、マリ戦、ウクライナ戦を終えての所感。

中島と柴崎は使える。
杉本は微妙、山口は消極的すぎ。

収穫としては、このくらいかな。
勝てない試合が続いたことで、ハリル解任派の声が渦巻いているが、この段階(あと3カ月)で監督を代えるリスクと、ハリル監督で臨むリスクの、どちらがよりリスキーかといえば、監督交代の方だろう。
2010年の南アフリカ大会のときは、オシム監督の急病のため岡田監督が再登板したが、あのときは2007年12月で、まだ2年6カ月の余裕があった。

コーチの手倉森氏の内部昇格という手は残されているが、ここで監督を引き継いでもあまりプラスになることはない。しいていえば、通訳がいらないこと。
グループリーグの対戦国は、普通に戦えば、ほぼ間違いなく負ける。その責任を手倉森氏に負わせられるかどうかだね。将来的なことを考えると、手倉森氏に負の遺産を背負わせるのは酷。ハリル監督で負けるのなら、W杯後は去っていく人だから、国内にしこりは残らない。……おそらく、そんな想定もあるのではないか。

グループリーグ突破の可能性があるとしたら、ミラクルが必要だろう。
ハリル監督に期待できるのは、そのミラクルの賭け。
欧州遠征で再確認できたのは、国内組は数人を除いて、使えないということ。体格が大きく、スピードも速い外国人選手に、まるで対応できず、振り回されているばかり。経験値のなさが致命的。
おそらく、最終メンバーは海外組主体になるだろう。というか、ならざるをえない。

「縦に速いサッカー」が批判されているのだが、後ろから前に蹴り込むだけのサッカーと単純化し過ぎていると思う。
一か八かのパワープレイではなく、精度の高いパスを後方から前に出す、というのが目指しているスタイルであるはずで、ただポンポン蹴りゃいいってもんじゃない。その後方からのパスが、どこを狙っているのか、どういう意図なのかがわからない、雑なパスになっているのが問題。ようするに、パスが下手くそ(笑)。

ハリル監督の戦術が批判されるが、選手たちが体現しているのが監督の意図するものではなく、監督の戦術を形にできていないのが現状だろう。それゆえ、監督は苛立ちを隠せないのだと思う。監督の要求が高いともいえるが、高い要求をこなせる選手が乏しいのも事実。

なにかと批判されるのが監督とはいえ、枠に飛ばないシュートは、監督のせいじゃないからね。決定機を何度も作っても、シュートが枠に飛ばないのでは話にならない。
根本的な問題は、じつはココなんだよね。
シュート数が多くても、枠内シュートが少ない。そりゃ、点は取れないよ。バカみたいに単純な理屈。

いくつか気になった記事を拾っていこう。

見え隠れするハリルの本音。選手たちとの乖離。日本代表が陥った“負のスパイラル”の正体とは | Goal.com

やはり、ウクライナは曲者だった。そして、日本代表が抱え続けてきた問題が明確に噴出した試合となった。

(中略)

マリ、ウクライナとの2試合を通じて日本が痛感したのは“個の未熟さ”だった。

身体能力の高いアフリカ人に対して、日本代表は時間経過とともにフィジカル、スピード、パワーのすべてで差を見せつけられた。そして東欧の選手たちからは技術力と個人戦術で上回られた。

マリもウクライナも、見ていて、シンプルに上手いよね。
体の使い方、ボールさばきなど、基本的な部分で上手い。日本人は技術としては高いはずなのに、海外選手相手には通用しない。
体格的に劣っているという現実もあるが、身長が低いだけでなく、体の鍛え方、つまり筋肉の付き方が違う。日本人選手が華奢に見えてしまうのは、文字通り華奢だからだ。ハリル監督が体脂肪率にこだわるのは、スポーツマンとしての肉体にするということだが、日本人選手(おもに国内組)はそれができていない人が多い。
そこが「個の未熟さ」なんだと思う。

2試合で見えなかった日本本来の強み(宇都宮徹壱) – ロシアワールドカップ特集 – スポーツ

「私は来日してから、できるだけ多くの選手に表現の場を与えてきた。最終予選だけでも43人の選手を招集している。少し多すぎるかも知れないが、さまざまな理由があってのことだ」──前日会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督はこう語っていた。正直、W杯初戦から3カ月を切るタイミングで、なお新戦力を含むテストが行われるとは思わなかった。「仮想セネガル」や「仮想ポーランド」というお題目で語られてきた、今回のベルギー遠征。しかし実際には、ギリギリまで戦力のオプションを増やすことを、指揮官は第一に考えていたようだ。

(中略)

チームワーク、俊敏性、あるいは勤勉さ──。それら日本本来の強みは、今回の合宿中に本田が口にした「迷った時に立ち返る場所」という言葉に置き換えてもいいだろう。思えば現在の日本代表は、ザッケローニ時代のキーワードであった「自分たちのサッカー」からの脱却が起点となっている。とはいえ、日本が本来持っていた強みさえも否定するべきではない。W杯が「ナショナルチーム同士が競い合う大会」であるならば、日本もまた他国がまねできない武器を再認識すべきだ。今回の欧州遠征が、その契機となることを願ってやまない。

ハリル監督は、パズルを完成させるラストピースを探していたんだろうね。おそらく、それは中島と柴崎だったのではと思う。
捨てるピースと入れるピースの見極めはできた。
あとは、持ち駒の組み合わせ。その組み合わせが、吉と出るか凶と出るかの賭け。

日本が本来持っていた強み」とは、なんだろうね。パスサッカーでポゼッションを握る、というのが強みだと錯覚していたのが、ブラジル大会の教訓ではなかったか?
じつのところ、強みなどなく、日本的なサッカーがあるだけではないか?
日本的なサッカーとは、Jリーグのサッカーのこと。それでいいのか?

「規律を守るとはいえ…」 ハリル監督が「なかなか変わらない」日本代表に苦悩 | Football ZONE WEB/フットボールゾーンウェブ

 もっとも日本のほうがアルジェリアよりも優れた面があると指摘。それは“規律”だ。日本人が重んじる面をハリル監督も評価しているが、その一方で指揮官の思惑通りにチーム作りが進んでいないと悩みを打ち明けている。

「パワーもアルジェリアの方があったと思う。ただ、日本の方が規律を守るという部分がある。規律を守るとはいえ、日本にも変えにくい部分がある。私がトライしても、なかなか変わらないところはある」

規律を守るというのは、御しやすい反面、いわれたことしかできないというマイナス面もある。
問題なのは、監督の要求を満たせる選手が少ないこと。
「蹴れ!」といわれて蹴るが、漠然と蹴るから前線の選手にボールが収まらない。それは監督の要求とは違うだろう。いわれたことができていないのに、監督に不満をもらす選手も出てくる始末。

なぜ選手達に「気迫」が見えない?ハリルJに日本サッカーの大前提を問う。 – サッカー日本代表 – Number Web – ナンバー

「個々のレベルアップ」が重要なのは正しい。しかし、W杯の初戦まで3カ月を切っている。グループリーグで対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドに対抗できるだけの個の力を、このわずかな時間で身につけることができるのか?

現実的に考えれば、無理と言わざるをえない。

(中略)

個を高度につなぎ合わせる「組織」を成熟させることが、世界で戦う日本には必要だったはずである。

最終予選サウジアラビア戦以来、約半年ぶりに先発した本田と柴崎だが、本領を発揮するには至らなかった。

「個々のレベルアップ」は必要だが、それは10代の選手にいえること。現代表の選手たちは、すでにその人に可能な到達点に達していて、のびしろはほとんど残されていない。いくぶんか残されているレベルアップが可能な部分は、経験だけだ。負けたことの悔しさを晴らすために、勝つことに執着するというような経験値。

組織の成熟……というのは、ザックジャパンでひとつの結実になったのではなかったか?
最適解ではなかったかもしれないが、あの時点での組織は成熟していた。
しかし、その組織力はコロンビアの個の力によって、粉砕されてしまった。

組織力にも限界がある。その反省からスタートしたのが、アギーレ→ハリルの展開だったはずだ。組織の熟成をさせていくためには、メンバーの固定化がともなう。メンバーが固定化すると、批判するではないか。新戦力を試していると、まだメンバーを確定できていないと批判する。

私が思うに、組織の熟成はザックジャパンのときがひとつの到達点で、それ以上は無理。
個の力は、育成年代からやらないと無理。
では、ハリルジャパンにできることは、なにか?……と、考えてみれば、ハリルの戦術に少しでも合う選手を起用することなのだろう。

それが、中島であり柴崎なのかもしれない。
もうひとり、乾もラストピースだと思う。

グループリーグで対戦する、コロンビア、セネガル、ポーランドの直近の試合結果の記事。

ポーランドが土壇場で韓国を下す…セネガル、コロンビアはスコアレスドロー/親善試合グループH対戦結果 | サッカーキング

27日に国際親善試合が開催され、2018 FIFAワールドカップロシアで日本代表と同じグループHに入るセネガル代表、ポーランド代表、コロンビア代表がそれぞれW杯を想定した相手と対戦した。

(中略)

セネガル代表 0-0 ボスニア・ヘルツェゴビナ代表

ポーランド代表 3-2 韓国代表

コロンビア代表 0-0 オーストラリア代表

というわけで、対戦相手もこの時期は苦戦しているのがうかがえる。
テストマッチはテストなので、モチベーション的にも本戦とは別物。代表チームとして試合をすること自体に意味があり、勝ち負けは二の次。テストマッチにチームとしてのピークを持ってきても意味がなく、本戦に向けてチームのピークを合わせること。それができなかったのが、ブラジル大会だった。

マリ戦、ウクライナ戦を見ていて、
「まぁ、こんなもんだろ。いま勝っても意味ないしな。使えるヤツと使えないヤツの見極めはついたんじゃね?」
というのが、私の感想。

忘れちゃいけないのは、日本は勝率の高い強豪国ではないということ。
アジア以外の世界を相手に、勝てる試合の方が少ないという現実。
その少ない勝機は、W杯本番まで残しておいた方がいい。

ミラクルが起きるかどうかは、本番のお楽しみ(笑)。

諌山 裕

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