スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー(シーズン2)|Disney+

 感動的な終わり方をした「キャシアン・アンドー」のシーズン2。
 シーズン1では、展開的にたるい部分もあったのだが、シーズン2はテンポよく物語が進行していた。シーズン2で終えることを前提として、物語中の時間を1年ずつ飛ばすという苦肉の策(?)が功を奏した感じだ。だらだらとやっていたら、飽きられてしまったかもしれない。
 加えて、毎週1話ずつではなく、3話ずつまとめて配信したのもよかった。

 

 WEB上の評価を見ると、高評価の記事が多い。それには私も同意だ。
 数あるスターウォーズドラマの中で、アンドーが異色だったのは、銀河文明の社会や文化を鮮明に描いていたことだろう。
 帝国 VS. 反乱勢力という単純な対立抗争ではなく、そこに生きる人々の日常が垣間見えた。

『スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー』シーズン2のキャシアン

 帝国を「悪」としてではなく、その中で働く者にも人間的な一面があると描いていた。与えられたポストで、職務を真面目にこなす帝国側のキャラクターたち。 シリル・カーンは典型的な役人気質だし、 デドラ・ミーロは軍人らしい面と女としての弱さも見せていた。ふたりの末路は、痛々しくもあった。

 じつは、帝国内で働く普通の人々というのは、重要な要素でもある。
 なぜなら、巨大な組織である帝国を運営するには、皇帝や幹部の上層部のような悪党ばかりでは機能しなくなってしまうからだ。コツコツと仕事をこなす人々がいないと、組織は回らない。恐怖と強制による服従では、組織は劣化していく。
 反乱軍によって帝国は打倒されていくわけだが、内部から腐敗していってトドメを刺されたというのを暗に示唆しているように思える。

 また、アンドーのドラマ中には、事件を報じる報道メディアが登場していたのも異色だった。ディスプレイがブラウン管らしきなのは古風ではあるが、民衆が銀河世界の情勢を知る術として、報道メディアが一定の役割を担っていたと思われる。これは現実世界の私たちには普通のことだが、スターウォーズ世界では、これまでなかった要素だった。

 キャシアンは立ち位置としてどっちつかずだったのが、ついには反乱軍のキャプテンとして戦いに挑むことになった。
 ラストシーンは、ジーンとくるものがあった。
 それは「ローグ・ワン」の物語を、すでに知っているからだ。
 それを思うと、切ない。

諌山 裕