企業規模の大小にかかわらず、パワハラなどのハラスメントが皆無の会社は、存在しないのではないか?……と思う。

組織にはピラミッド状の階級(カースト)があり、立場の上の者が下の者に対してハラスメントを行使する構図になっているからだ。役職などの地位だけでなく、年上(先輩)から年下(後輩)に対して、あるいは男性から女性に対して、強い者が弱い者をいじめる。

これは社会の風潮であり、それが子供達の学校にまで及んでイジメ問題になっている。
そんなパワハラ問題の記事が以下。

パワハラ自殺が大企業で相次ぐ。佐川急便、三菱電機…なぜいつも防げないのか | bizSPA!フレッシュ

職場で上司から「パワハラ(パワーハラスメント)」を受け、自殺したというニュースが目立っています。

第三者の立ち位置でニュースを見ると「とんでもない会社だ」「なぜ周囲の人は助けないのか」「そんな会社辞めればいいじゃないか」など言いたくなるかも知れません。しかし、毎年のように同じことが繰り返されています。

(中略)

■ 職場の同僚が助ける難しさ
・日常的にハラスメントが起きている職場環境だとマヒして異常に気づけない
・言われる側にも原因があるという考えもあるため、周囲もハラスメントの判断が難しい
・介入することで報復されるリスクがある

ブラック企業よりもホワイト企業の方が少ないので、転職すれば解決できるとは限らないのが、さらに問題を複雑にしている。

簡単には辞められないのは、収入が一時的にしろ断たれることの不安があるからだ。
失業保険で給付される給付金は少なく、それでは生活が困窮してしまう。元の収入の5割しか給付されないと、家賃すら払えなくなったりする。ないよりマシ程度の給付金では、リスクが高すぎて辞めたくても辞められない。

結果、パワハラを受けても、我慢に我慢を重ねることになる。
そして、あるとき我慢の限界を超えて、自殺に走るという最終手段に陥ってしまう。

じつは、うちの妻が、現在進行形で陰湿で執拗なパワハラを受けている。
私は「我慢できないなら辞めろ」といっているのだが、やはり収入がなくなることの不安のために、辞められずにいる。

妻がパワハラを受けていても、同僚は助けてくれない。
理由は記事にあるように、「介入することで報復されるリスクがある」からだ。
誰だって自分がパワハラを受けたくないから、かかわりたくない。その気持ちはわかるから、同僚達を責める気にはなれない。

夫婦共稼ぎで、なんとか家計を回しているから、妻の収入が断たれると貧困層に転落することになる。貧乏がいかに辛いかは、過去に経験しているから、恐怖もあるんだ。
パワハラも恐怖だが、貧乏の恐怖の方が大きい。

記事では、佐川急便、三菱電機、ヤマハと企業の名前が挙がっている。
いずれも誰もが知る大企業だ。
こんなのはほんの一例だろうし、有名企業を10社挙げれば、同様の問題は自殺者が出ていないだけで存在しているはずだ。

妻の勤めている会社も、大企業傘下のグループ会社(C社と呼称)だ。
あえて名前を挙げよう。
ヤマトホールディングス傘下の会社だ。

ヤマトホールディングスの「グループ企業理念」には、以下のような文言が書かれている。

グループ企業理念 | ヤマトホールディングス株式会社

4. 働く喜びの実現

  1. 私たちは、社員一人ひとりの人格・価値観や柔軟な働き方等の多様性を尊重し、働きやすい職場環境の構築に努めます。また、一人ひとりが自発性をもって行動できる職場風土の構築を通じて、働きがいのある職場づくりに努めます。
  2. 私たちは、職場のコミュニケーションを大切にします。職場での問題や疑問がある場合は、一人で抱え込まず、上司や同僚に報告・連絡・相談します。
  3. 私たちは、気持ちよく働ける良好な職場環境の実現に努めます。法律違反はもちろん、社員としての立場を私的に利用したり、プライバシーの侵害、社内の接待贈答、精神的・肉体的に相手を傷つける言動やハラスメントは容認しません。特に、就業時間中あるいは会社での立場を利用して、個人の信条による政治・宗教活動等は行いません。
  4. 私たちは、一人ひとりが健やかな生活を営むために、自身をはじめ家族や同僚の心と身体の健康に関心をもち、適度な運動を心がけ、過度の飲酒・喫煙を慎む等、日頃から健康づくりに取り組みます。

書かれていることは立派。
しかし、これは絵に描いた餅であり、ただの建前であり、実態とはかけ離れている。

企業の上層部は現場の実態を把握していないのか、知っていても見て見ぬふりをしているのだろう。
C社では、離職率が高く、頻繁に人が入れ替わっているという。妻はその中でも長い勤務歴があるが、年下の上司から毎日嫌がらせを受けている。
お陰で、最近では心身に不調をきたすようになった。食欲がなくなり、痩せてきて、精神的なストレスもかなりある状態。「うつ」の一歩手前だ。

会社には、ハラスメント等の相談を受けつける担当者がいるそうだが、その担当者がパワハラをしている張本人という救いようのない状況。
そんな上司に、誰が相談するんだ?

これ以上ひどくなるようなら、辞めさせるつもりだ。
だから、親会社の企業名を出している。
企業としては、自社にとって不利益になるような不祥事は隠蔽したいものだ。立派な建前を掲げ、実態は隠せるものなら隠す。それが企業の価値観なのだろう。

「働く喜びの実現」に書かれているような、夢のような会社ならいいが、そんな会社は日本に存在するんだろうか?
存在しているとしても、極めてレアな会社だろうね。

諌山 裕

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