地球に生命が誕生し、長い進化の末に人類が誕生した。
というのが、進化論。
その時間は約40億年とされている。
地球は太陽が赤色巨星化するまで、あと50億年くらいは存在すると考えられている。
人類が絶滅したあとに、再び人類に匹敵する知的生命体は出現するかどうか?……という考察の本の紹介記事。
生命40億年の進化の歴史をもう一度やり直しても人類は誕生するか(更科 功) | ブルーバックス | 講談社(1/3)
さて、グールドはある講義で、「もしも白亜紀末に小惑星が地球に衝突しなかったら?」という質問を学生たちに投げかけた。小惑星が地球に衝突しなかったら、多くの恐竜が絶滅することなく生き残り、哺乳類が繁栄することはなかったかもしれない。ということは、現在、私たちヒトは存在していなかったかもしれない。グールドは、そんな可能性を指摘したのだ。
(中略)
地球に生物が棲めるのは、おそらくあと10億年ほどである。そのころには、今より太陽が明るくなり、放出するエネルギーも増えて、地球は干からびた灼熱の惑星になっている可能性があるからだ。ということは、生命が誕生したのは約40億年前だから、地球に生物が棲めるのは全部で50億年ぐらいということになる。
私たちヒトは、地球に生物が棲める約50億年間のおよそ8割が経過した時点で、やっと進化した。私たちのような知的生命体が進化するのに、40億年もかかったのだ。万が一、私たちが戦争か何かで絶滅したら、残りの10億年でもう一回進化するのは難しいかもしれない。
という著者は、ちょっと勘違いしているように思う。
生命誕生から人類誕生まで40億年かかってはいるが、人類絶滅後に進化の歴史をゼロから始める必要はないんだ。
恐竜の時代、人類の祖先にあたる哺乳類の齧歯類は、恐竜の足下を駆けずり回るネズミだった。
恐竜が絶滅して、空いたニッチを埋めるように哺乳類の進化が始まった。
原初のネズミから人類にまで進化するのに要した時間は、約6500万年だ。
つまり1億年未満で人類まで到達した。
なんらかの理由で人類が絶滅しても、ドブネズミは生き残るだろうし、ゴキブリも生き残るだろうし、魚類のいくつかも生き残るだろう。
スタートはゼロではない。
そこから進化の競争をスタートすれば、1億年くらいで知的生命体に至る可能性はある。
10億年あれば、10回のリスタートができるということ。
人類の文明の発祥は、農耕が始まった約1万1000年前とされている。
6500万年の中の、わずか0.017%でしかない。
機械文明の始まりとされる産業革命は、たったの約300年前だ。
人類が地球に君臨してきた期間は、ほんの一瞬に過ぎない。
この人類時代が永遠に続くかのような錯覚をしているが、1億年後には地球の覇者は人類ではなくなっているだろうことは、ほぼ確実だと思う。
1億年後の世界では、かつての人類の文明の化石を発掘しているかもしれない。
私たちが恐竜の化石を発掘しているように。