電車は隠れた感染拡散ルートだと思うのだが、これまで目立った対応はされてこなかった。
典型的な3密が成立する環境であり、満員電車では人と人との距離がゼロになるほど密着する。窓を開けるくらいでは、気休めにしかならず、空気感染することが濃厚となったことから、無症状感染者が車内にいれば、マスクをしていてもウイルスを含む呼気が充満する。
2日に1回、アルコール消毒を実施してもいたが、その効果は期待できない。
それならばと、銀イオン系抗菌コート剤を車内に塗布するという。
東京メトロ、抗ウイルス剤で予防 全車両にコーティング(共同通信) – Yahoo!ニュース
東京メトロは、抗ウイルスや抗菌の効果がある薬剤で車内設備をコーティングする作業を始めた。8月中旬までに保有する2720両全てで終えるとしている。新型コロナウイルスの感染拡大で、クリーンな環境維持に利用客の関心が高まっており、応える狙いだ。
(中略)
使用する薬剤は「シルフィーミストAG」で、インフルエンザウイルスや大腸菌、黄色ブドウ球菌などに効果がある。
この記事に反応したネット民は、「シルフィーミストAG」とはなんぞや?……とググった人が多かったようだ。
しかし、この記事のニュースがヒットするばかりで、肝心のシルフィーミストAGについての説明が出てこない……と、逆に話題になっている。
より詳しい記事が、以下にあった。
東京メトロ、全2720両の車内に抗菌コート剤…処理済みにステッカー、通常清掃も変更[動画] | レスポンス(Response.jp)
東京メトロは7月2日から8月中旬までに、同社が保有する全車両2720両の車内に銀イオン系抗菌コート剤を吹き付ける。千代田線むけ16000系や6000系などが所属する綾瀬車両基地でも始まった。
今回、東京メトロが採用する抗ウイルス・抗菌の薬剤は、タツミ技研(東京都江戸川区)が開発・製造した銀イオン系抗菌コート剤「シルフィーミストAG」。もともとは空調ダクトなどに用いる銀イオン系抗菌コート剤で、これをベースに東京メトロ車両むけに専用開発した。
作業はまず、車両基地内に留置されている電車の電源を落とし、パンタグラフが降りたのを確認してからスタート。ゴーグルをつけ、20kgの噴霧タンクを背負ったスタッフが、車内の手すり・吊り手・握り棒・座席シート・壁面などにシルフィーミストAGを吹き付けていく。吹付け時間は1両10分ほど。複数のスタッフで吹き付けていくケースもある。
吹き付けたシルフィーミストAGは、1時間で粒子が落ち着き、自然乾燥・空調運転を経て作業を完了させる。一連の作業時間はおおむね3時間。処置済み車両には、車内にコーティング済みを示すステッカーを貼る。
シルフィーミストAGは、インフルエンザウイルス、大腸菌、黄色ブドウ球菌などへの抗ウイルス・抗菌効果があるといわれ、新型コロナウイルスに対する効果は検証中。「インフルエンザといった一般的な同種構造ウイルスへの効果があるという検証結果が出ていることから、新型コロナウイルス感染症への効果も期待し実施に踏み切った」という。
東京メトロ車両は通常、15日周期で消毒剤を用いた清掃、10日周期での噴霧器による消毒を実施。今回採用した銀イオン系抗菌コート剤シルフィーミストAGは、アルコールに弱く、アルコール消毒するとシルフィーミストAGがはがれてしまうことから、従来の消毒作業をやめる。
その代わりに、ミストアルファ(界面活性剤)と銀イオンが入っている補助剤を含ませた布で手すりやつり革を拭いて除菌し、銀イオンを再塗布していく。
この銀イオン系抗菌コート剤 シルフィーミストAG を吹き付けた車両は、7月9日の時点で208両。残りの2512両を残り1か月ほどで施工を完了させるというから、人手も薬剤も多く要る見込み。
ということである。
東京メトロ車両専用に開発したとのことで、道理で検索に出てこないわけだ。
ようするに銀イオンでウイルスを不活性化するということのようだ。
詳しい説明は以下に。
銀イオン(Ag+)の働き | aiSave CCFL 抗菌 ライト
銀が分子状態で水に溶解し、電荷を持ち活性化したものです。銀イオンの殺菌効果は、レジオネラ菌、大腸菌、ブドウ球菌、一般細菌、MRSA、ヘルペスウィルス、赤痢菌、緑膿菌、ポリオウィルスロタウィルスなどほとんどの菌に対して有効です。アリゾナ大学の研究データによると650種類以上の菌に有効性を示したとの報告があります。少なくとも生活環境で普通に存在している細菌については、銀系抗菌剤は確実に効果を持っています。
銀は金属アレルギーを起こしにくいとされているが、希に銀歯でアレルギーを起こす人はいる。銀アレルギーの人は極めて少数だと思われるが、銀歯でアレルギーになった経験のある人は注意した方がよさそう。
対策としては、銀イオン系抗菌コート剤によって、接触感染のリスクは減ることが期待される。
しかし、それでも空気感染のリスクは相変わらず。
満員電車をどうにかしないとね。
これは感染対策というだけでなく、首都圏の長年の課題でもある。
緊急事態宣言が出されていた頃の、スカスカの電車が懐かしいよ(^_^)b