国内の電子ブックストアを評価する記事、eBook USERによる「あなたに合った電子書店を見つけよう:これでもう迷わない、電子書店完全ガイド」の今週は、楽天koboイーブックストアについて。
かなり手厳しい評価とコメントになっている。
あなたに合った電子書店を見つけよう:これでもう迷わない、電子書店完全ガイド――楽天koboイーブックストア (2/5) – 電子書籍情報が満載! eBook USER
率直に言って、非常に本が探しづらい電子書店です。「楽天市場」という多くの利用者を持つオンラインショッピングモールを運営している企業が、どうしてここまで探しづらく使いづらく気の利いていないサイトにしてしまえるのか、天を仰いで嘆きたくなります。
あなたに合った電子書店を見つけよう:これでもう迷わない、電子書店完全ガイド――楽天koboイーブックストア (5/5) – 電子書籍情報が満載! eBook USER
ユーザーとしては、楽天グループの電子書店なら、グループ内のさまざまなサービスとも連携していて当然、という期待もあるでしょう。ビジネスにはスピードが重要ですが、あまりに未完成な状態でリリースされてしまったことで、ユーザーにネガティブなイメージを与えてしまったように思います。koboが海外で展開しているサービスを期待していた方には、現状のサービスは不満も多いでしょう。これが電子書籍全体に対するイメージとならないことを願うばかりです。
電子書店として最も重要な品ぞろえがなかなか増えず、ストア内は検索しづらく、肝心の読書体験もファームウェアのバグによって損なわれている現在の状態では、ユーザーはいずれ離れていくでしょう。端末の安さもあって新規ユーザーの獲得は比較的容易と思われますが、安いからこそ見捨てやすいということでもあると思います。楽天スーパーポイントの予約特典があるので、最初は売れて当然です。ただ、電子書店としては継続して売れ続けることこそが重要です。掴んだ顧客を逃がさないためには、このレビューで指摘した数々のマイナスポイントの改善が期待されます。
楽天koboは書籍点数を増やすことばかりに腐心しているようで、電子ブックストアとしての改善は、遅々として進んでいないようだ。
そもそも楽天のショップ自体が、お世辞にも洗練されているとはいえず、ごちゃごちゃと散らかっている感じなので、そのシステムを管理している人たちの感性では、スマートなストアは望めないのかもしれない。
書籍点数のことばかりを強調してきた楽天koboなのだが、他の電子ブックストアを見る限り、版元の出版社が提供できる総数は約6万点が現状のようだ。つまり、それ以上の書籍を増やすには、新たに電子ブック化していかなければならない。楽天koboが自ら電子ブック化をするのか、出版社側に依存するのかで、今後の書籍数の増加ペースが左右される。
電子ブック化では、出版デジタル機構(パブリッジ)が5年後に100万点を電子化することで進めているようだが、現状、どこまで進んでいるのかは明らかにされていない。まだ準備段階のようだ。
出版デジタル機構、ビットウェイと電子書籍取次・配信システム構築へ – 電子書籍情報が満載! eBook USER
4月に設立された出版デジタル機構は、電子書籍の普及促進を目的とした団体で、経済産業省の「コンテンツ緊急電子化事業」(緊デジ事業)と連携し、まずは今年度中に約6万タイトルを、機構としては5年後に100万点の電子化を推進する考え。投資ファンドの産業革新機構が総額150億円を出資したことでも話題を呼んだ。
パブリッジによる電子化が進んでくれば、それを取り込んでいくことは可能だと思われるが、それはすぐには無理そうだ。
そうなると、楽天koboは自ら電子ブック化を進めていく必要がありそうだ。ウィキペディアがその一例なのだろう。
週間ペースでの出版社提供の電子ブックの増加数は、総数で数百点ペースなので、これ以上多くなることはないと予想される。楽天koboが目標に掲げる年内20万点は、出版社に依存している限り不可能だということ。曲がりなりにも数だけの目標を達成するには、出版社以外の電子ブック化しやすい素材(テキストデータになっているもの)を引っ張ってこないといけないことになる。
そうなると、前にも書いたように、メルマガ、ブログ、Twitterなんかのテキストを電子ブック化するのかもしれない。
奇策を講じない限り、楽天koboの書籍点数の増加ペースは、だんだんと落ちてくるはずだ。
今後の展開に注目したい。