政治的な事件の真相は、往々にして明らかにされない。
「ない」といっていたものが、何十年か経って「あった」と覆されたりもする。
政治的な駆け引きの結果、都合のいいように辻褄を合わせる。
真相は藪の中……というのは、政治の世界の鉄板ともいえる。
先の、韓国哨戒艦沈没の事件も、大筋では北朝鮮犯人説が定着しつつある。
週刊金曜日ニュース? ブログアーカイブ ? 韓国哨戒艦沈没は北朝鮮の犯行と断定―― 李大統領に吹いた北からの追風
三月に発生した韓国海軍哨戒艦の沈没をめぐり、韓国軍と民間専門家による合同調査団は五月二〇日、原因について「北朝鮮製の魚雷による水中爆発」と結論付けた。これを受けて、李明博大統領は二四日に「国民向け談話」を発表。沈没を「北朝鮮の武力挑発」と断言し、今後も同じような行動を繰り返した場合、軍事的対応も辞さないとの考えを示した。
(中略)
実際の証拠を示しながら、約二時間にわたって行なわれた調査結果の記者会見は、内容に一定の説得力はある。だが、発表の五日前に「決定的証拠」が発見されるというタイミングとともに、調査結果ではそれまでなかったとされていた「爆発による水柱」も、一〇〇メートルの高さまで達していたと軌道修正。魚雷爆発の衝撃で消失したとされていた船底の一部も、結果発表の数日前に引き揚げられたが、その調査結果は一切盛り込まれていないなど、不自然さがぬぐえない点も散見される。
多くの報道が、この路線で伝えているため、これが真相だと多くの人が思っているだろう。
私もそのひとりだった。
そもそも、北朝鮮は信用されていないし、過去に何度も世界から反発されるようなことをやってきたから、もはや前科者扱いだ。
犯人だとしても、誰も驚かないし、またか、という印象しかない。
だが、次の記事を読むと、真相の見え方が変わってくる。
天安沈没の謎は解けないままだが、この事件をめぐっては、日本でほとんど報じられていない「もう一つの沈没」が起きている。天安艦の沈没現場の近くの海域に、米軍の潜水艦とおぼしき巨大な物体が沈没しており、韓国軍の潜水隊などが捜索にあたり、米軍のヘリコプターが米兵の遺体とみられる物体を運び去る映像を、韓国のKBSテレビが4月7日に報じている。KBSテレビは公共放送で、韓国のマスコミで最も権威がある。
(中略)
第3のブイの存在を報じたKBSは誤報扱いされ、その後は「天安艦は米潜水艦から誤爆された」といった見方自体が「危険な流言飛語」とみなされ、韓国社会で事実上の「禁止」とされた。
しかし、天安艦が仲間内からの誤爆で沈没した疑惑は、沈没の直後から韓国のマスコミに存在していた。事件当日、韓国軍と米軍は、ペンニョン島より南の海域で、米韓合同軍事演習「フォールイーグル」を展開していた。米韓の事前の発表では、軍事演習は3月18日に終わったはずだったが、実際の演習は4月30日まで秘密裏に延長され、3月26日の事件当日も演習が行われていた。事件後も米韓当局は、当日に合同演習が行われていたことを全く発表しなかったが、事件翌日には情報がマスコミに漏洩し「天安艦は、軍事演習中の誤爆を受けて沈没したのではないか」という記事を各紙が報じた。
(中略)
北側からの攻撃で沈没したのではないなら、残るは誤爆説になる。私が疑っているのは「米軍は、潜水艦をペンニョン島の周辺に常時潜航させていることを、韓国軍に伝えていなかったのではないか」ということだ。第3ブイに沈んでいる米潜水艦が長期潜航していたのなら、当日の米韓合同演習にも参加していなかったことになる(合同演習とは別の任務になる)。
天安艦は、ペンニョン島の南の沖合を航行するはずが、予定より岸に近づき、その結果、韓国軍に存在を知らされていない米潜水艦の存在を探知し、北朝鮮の潜水艦が潜入していると勘違いして発砲し、攻撃されたので米潜水艦も瞬時に撃ち返し、2隻とも沈没するという誤認の末の同士討ちが起きたのではないか。米潜水艦は、受信専用のパッシブソナーを使い、天安艦の接近を察知しただろう。だが、米軍が韓国軍に対しても秘密にして米潜水艦を潜航させていたのたら、米潜水艦の方から天安艦に無線連絡を入れるわけにはいかない。
田中氏は、陰謀説に偏る傾向はあるものの、別の視点を提供してくれるジャーナリストだ。
大手のメディアが報じていない事実があるのは本当だろう。
日本のマスコミは、右向け右で、みんな右を向いてしまうのは、悲しい現実でもあるからだ。情報ソースが同じだから、論調に微妙な違いはあっても、基本的な部分は同じだ。
真実はどうだったのか?
それが解明されるのは、数年後、あるいは数十年後か、それとも闇の中に葬られるのか……。
北朝鮮を擁護するつもりなど、さらさらないが、知りたいのは真実だ。