メタバースを利用した仕事では、ストレスがかなり高くなるという実験結果になったという。
予想されたことではあるが、現状の端末や環境の限界に起因しているともいえる。
18人の大学職員が1週間メタバースで働いてみた結果…2人は数時間で脱落 | Business Insider Japan
しかし最近の実験結果は、それはまだ現実には程遠いことを示している。
その実験は、18名の大学職員たちが、まるまる1週間メタバースにログインし続けるというものだった。このうち2人は、吐き気を発症して脱落し、残りの人たちもイライラや不安を感じ、最後には目が痛くなったとイギリスの週刊科学雑誌の『ニュー・サイエンテイスト(New Scientist)』は報じている。
(中略)
参加者のうち2人は、ヘッドセットのオキュラス・クエスト2(Oculus Quest 2)の重さもあってか、吐き気や不安、偏頭痛を訴え、数時間で脱落してしまったという。吐き気はVRの副反応としてよく知られている症状だ。
残りの人たちはVRでの仕事を1週間続けたが、いくつかのネガティブな結果が報告された。物理的な作業環境と比較し、参加者は平均してフラストレーション・レベルが42%増加し、眼精疲労は48%増加したというのだ。
ほぼ5分の1が不安を感じたとし、バーチャルで過ごした1週間は物理的な環境と比較して全体的に幸福度が20%も低下したことが分かったことも報告されている。
「VR酔い」は3Dゲームでもよくあることで、不自然な視界による違和感が原因だ。日常の肉眼では顔を振っても視界がグラグラ揺れることはないが、VRおよび3D画面では視点の移動にともなって視界が大きく動いてしまう。安定しない視界に、平衡感覚を左右する三半規管が混乱する。乗り物酔いと同じような症状だ。
ヘッドセットが大きくて重いのは、技術的な問題でもある。
かつての携帯電話の初期モデルが、大きな受話器と大きなバッテリーで持ち運ぶのが大変だったが、今ではポケット入るくらいコンパクトで軽くなった。これは技術的な進歩のお陰。
ヘッドセットにもそういう進歩が必要だろう。通常のメガネくらいの手軽さがないと、誰もが使えるデバイスにはならないと思う。
眼精疲労も問題だろうが、視力の低下も招くのではないか?
というのは、ヘッドセットでは目から近い距離のディスプレイを見ていて、ギラギラした3D映像を見ているので、目にかなりの負荷がかかっている。テレビやスマホを見過ぎて視力が低下しているとの研究報告もあり、VRではより影響が顕著になるような気がする。
リアル世界での肉眼では、目の焦点が合っている部分は鮮明に見えているが、周辺や遠景はピンボケで情報量を制限している。一眼レフカメラでの被写界深度によるボケに近い表現だ。
ところが3D空間では、基本的に画面内のすべてがくっきり見えていて、被写界深度はないのが通常だ。被写界深度を作り出すことは可能なのだが、見ている人がどこに焦点を合わせているかを検知して、ユーザー視点で随時被写界深度を調整する機能がない。
見えすぎていることが、目のストレスになるんだ。
私の裸眼視力は0.03というド近眼なのだが、ヘッドセットの画面はメガネなしでも見える。ディスプレイは近い距離にあるからだ。最近のヘッドセットを持っているわけではなく、昔、ゴーグル型のディスプレイを試し買いしたことがあるんだ。擬似的な大画面のテレビを見られたが、目がとても疲れるので使うのをやめた(笑)
ヘッドセットを使う時間が長くなると、遠くを見る必要がなくなるので、視力はあまり必要ない。それが視力低下につながる。スマホによる視力低下も同じ理由だ。
メタバースによる健康被害というのも、いずれは問題になるかもね。
ゲームだったらメタバースは楽しいかもしれないが、仕事でメタバースを使うのはストレスになるというのはわかる気がする。
「幸福度が20%も低下」では、仕事をするのが嫌になるよね。