ネット上では、匿名が前提になっている。
匿名には利点と欠点があるが、そもそもなぜ匿名になったのかは、黎明期の寛容な良心が原点だともいえる。
しかし、ネット人口が爆発的に増えると、良心の呵責など意に介さない人の数も増えた。比率としては変わらなくても、母数が増えているから、匿名であることを悪用する人は増える。
かといって、実名でも、その傾向は少なくなりはするだろうが、ゼロにはならない。それは実社会で犯罪が起こることと変わりはない。
そんな匿名と実名についての調査記事。
やっぱりネットでは「実名使わない」が7割~個人情報が出るのが怖い:RBB NAVi (ブロードバンドコンテンツ 検索サービス) 2010/02/24
ネット上で匿名を使用する理由については、「ネット上に個人情報が出るのは怖い」が64.0%ともっとも多く、ついで「立場を気にせず気軽に発言したい」44.0%、「自分の名前を悪用されると困る」37.3%、「自分の好きな名前を使いたい」が36.4%となった。男女別にみると、女性は「友人や知人に発言内容を知られたくない」「ネット上に個人情報が出るのは怖い」「自分の好きな名前を使いたい」という選択肢について、回答の割合がそれぞれ男性よりも約10%多く、傾向に違いが見られた。
ネット上で実名を使用する理由については、「実名の方が説得力がある」が43.6%ともっとも多く、ついで「友人や知人にも発言内容を知らせたい」25.8%、「自分の発言に責任を持ちたい」が20.6%となった。
実名と匿名を、第三者が識別できないから、実質的な違いは少ないと思う。
前にも書いたが、ネットユーザーひとりひとりに、固有のIDでも付与しない限り、実名が本物か、それが本人なのかといったことの証明の根拠がない。
Twitterで偽物が本物のごとく発言することが、まかり通ってしまうというように、真偽を確かめようがない。
匿名だと実名ではできないようなこと、やらないようなことができてしまうというのも、不思議な心理だ。
おそらく、そういう人は、実社会では小心者で、鬱屈した人格なのだろう。匿名という仮面を被ることで、良心や良識を無視できるのかもしれない。
それを「自由」と呼ぶのか、「暴挙」と呼ぶのか……。
私のマイナーなブログですら、ときどき暴言のコメントを残していく人がいる。
コメントは承認制なので、即座に公開されるわけではない。
バカなコメントは非公開で破棄する。
先日もそんなコメントが残されていた。
それはまるで、電車の中で糞を残していくようなものだ。
彼(文面から、たぶん男)は、良識をどこに捨ててきたんだろうと思った。
サーバーに残されたアクセス記録から、IPアドレスがわかる。調べてみると、彼はプロバイダに「hi-ho」を利用し、アクセスポイントは愛知県であるらしいことがわかった。
ここまでは簡単にわかる。その先は、プロバイダにあるアクセス記録から辿ると個人を特定できるわけだが、普通は警察などの捜査令状がないと公開されない。
悪質な書き込みの場合には、プロバイダに苦情を申し立てると、該当者に警告を発してくれることもある。掲示板サイトを運営している関係上、過去に何度もそういう事態に遭遇し、警告を発してもらったことがある。
匿名は良心・良識があれば便利ではあるが、悪意があると困った問題になる。