火星に巨大な氷床を発見、未来の移住の水源となるか?

火星への移住が近い将来に可能になるかどうかはかなり難しいと思うのだが、可能性を探ることにはそれなりの意義はある。

かつての火星には、海があったことはほぼ確定的となっている。

かつて火星には広大な海があった – AstroArts

43億年前の火星には、北半球の広大な平地を中心に地表の2割ほどを覆う、最大で1.6kmの深さの海があったようだ。これほど多くの水が存在したとなると、水が豊富な期間はこれまで考えられていたよりも長く続いたことになる。生命を育むのにはじゅうぶんな時間だ。

数億年の間、海が存在していたとすれば、生命が誕生するのに十分な時間だろう。
その生命が、どこまで進化できたかは不明だが、微生物や細菌レベルであれば現在も生き残っている可能性はある。地球においても、極限環境に生きる微生物は存在しているからだ。

火星は、惑星としての大きさが小さく、重力も弱いため、大気や大部分の水(水蒸気もしくは分離した酸素と水素)は宇宙空間に逃げてしまい、乾燥した世界になっている。

そこで、残っている水がどれだけあるかが問題だ。
氷として残っている水が、地下にあるらしいとの研究報告が以下。

火星に巨大な氷床を発見。水量は北米最大スペリオル湖以上かも|ギズモード・ジャパン

もっとドバドバした水源が必要、と思っていたら、NASAが巨大なのを発見してくれました。そこには、北米最大の湖であるスペリオル湖を超える量の水が入っているかもしれないんです。

テキサス大学オースティン校の博士課程学生Cassie Stuurmanさん率いるチームは、火星のユートピア平原(上画像)で巨大な氷床を発見しました。彼らはNASAのマーズ・リコネッサンス・オービター(火星偵察周回機)搭載のSHARAD(地下レーダー)スキャン画像600枚を分析し、ちょうど日本と同じくらいの面積、37.5万平方kmの範囲に凍った水が蓄えられていると推定したんです。この発見は学術誌「Geophysical Research Letters」で発表されました。

ユートピア平原って、どこよ?
という人が大半だろう。火星の地図は公開されているので、NASAかGoogleの火星地図を参照するといい。

火星(ユートピア平原の場所)

ユートピア平原

上図はNASAの火星地図より。
これを見てもピンとこないかもしれないが、極北よりの山脈のふもとあたりだ。
氷河期の氷河の名残ということらしい。

片道切符で人間を火星に送るという無謀な計画があるが、水や食料の問題よりも、大気が薄く、地磁気も弱いため、降り注ぐ放射線をどうやって防ぐかの方が大きな問題。
これまでの観測データによると、3年で被爆許容量を超えてしまうという。

探査としては、いずれ人間が火星に降り立つとは思うが、移住するのはもっと先……100年、200年先かもしれない。
そんな未来を見てみたかった。
いまは、SF小説や映画で想像するだけ。

諌山 裕

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