耳かきをしていて、思い出した。
日本人の場合、「湿性耳垢」か「乾性耳垢」かで、遺伝の系統が違っているという話。「乾性耳垢」は「本土(大陸)型」、「湿性耳垢」は「琉球・アイヌ型」に分類されるという。
割合としては、
なのだそうだ。
「本土(大陸)型」は弥生人、「琉球・アイヌ型」は縄文人がルーツだとされている。日本人は両者の混血の結果だが、湿性の方が優性形質※だというのに乾性の方が多くなっているのは、大陸由来の弥生人の数が圧倒的に多かったからなのだろう。
※註:2021年以降は、優性形質を「顕性形質」と劣性形質を「潜性形質」と呼び名が変わった。
あなたの耳垢は、乾性と湿性のどちらだろうか?
私は「湿性耳垢」で、少数派の16%だ。つまり、縄文人系の遺伝子を受け継いでいることになる。
この遺伝系統の違いは、骨格にも現れているそうで……
広く東アジアを舞台とする遺伝学的な研究からも「日本人の起源」に関して貴重な情報が寄せられた。この図は初期の研究成果の一つで、湿った耳垢を持つ人と乾いた耳垢を持つ人(この特徴は遺伝する)の比率を調べたもの。日本列島の南北端に位置するアイヌと沖縄の人々は比較的湿型が多いのに対して、本州域は乾型が多く、その特徴は朝鮮半島や大陸につながっている。
……ということで、いわゆる「小顔」の人は、縄文人系統なんだろうね。
いわれてみれば、私の歯は小さめだな。
出っ歯の人は弥生人系統ということになる。
別のレポートでは……
ヒトの耳垢型がABCC11遺伝子の一塩基の変化で決定されることを発見/国立研究開発法人 科学技術振興機構
耳垢型は、古くから知られていた、2つの形質をもつ有名な遺伝形質でした。
外見からも非常にわかりやすく、容易に判断できるために長い研究の歴史があります。湿型と乾型の区別がなされ、湿型が乾型に対して優性です。乾型は、日本では70~80%をしめ、多数派ですが、ヨーロッパ人、アフリカ人はほとんどが湿型であって、乾型は、少数派です。乾型の頻度は、東北アジアを中心に最も高く、南下あるいは、東西に向かって頻度が低くなっています。北アメリカ、南アメリカの先住民にも乾型耳垢が認められ、過去に北アメリカ、南アメリカにアジアから移住した民族がいたのであろうといわれています。
また、日本では、腋臭症が湿型耳垢と関連があるといわれています。このように、日本人には湿型、乾型の両形質がそれなりの頻度で存在していることから、しばしば話題にされ、人類学的な興味をそそるものでありましたが、その決定遺伝子は不明でした。我々は、ある疾患の連鎖解析の途中で、耳垢型を決定する遺伝子が染色体16番に存在することを偶然発見し、報告しました。
今回はその研究を進めて、耳垢型を決定する遺伝子が、薬剤耐性に関連するABCC11遺伝子にあることを発見しました。
……ということだ。
これは憶測だが、新型コロナに対する免疫機能の違いにも現れているのではないか? 日本では感染者数や死者数も欧米に比べて少なかったが、そこに「湿性耳垢」か「乾性耳垢」の違い、つまりABCC11遺伝子が関与しているのではないか?……などと妄想してしまう。
コロナに感染した人の耳垢のタイプを追跡調査し、湿型と乾型の割合を比べて、有意な差があるかどうかで因果関係を推定できるように思う。
とまぁ、耳垢からわかることもある、という話。
ちなみに「湿性耳垢」は、ネコミミともいわれるらしい。猫の耳垢は湿型だからね。