エスカレーター「片側空け」をやめるように、キャンペーンが展開されているのだが……
エスカレーター「片側空け」は危ない! 鉄道各社が一斉に「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーン – ITmedia ビジネスオンライン
全国のJR・私鉄、空港などが7月21日から、駅などでエスカレーターの安全利用を呼び掛ける「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンを一斉に実施する。エスカレーターで片側を空ける習慣は「危険な事故につながる場合もある」として、「エスカレーターでは立ち止まり、手すりにつかまる」ことを呼び掛けていく。
これについては、過去記事でも書いていた。
関連記事→エスカレーターの「片側開け」問題
2013年6月のエントリなので、もう2年前(現在年からは11年前)。過去記事で引用した記事は削除されてしまっているので、引用しておいてよかった(^_^)。真義は不確かだが、鉄道会社が片側空けを呼びかけていたという説がある。説を裏付ける明確なソースが欲しいところ。
Wikipediaの「エスカレーター」には……
エスカレーター – Wikipedia
片側空け
イギリスやアメリカ、台湾、香港などの混雑の激しい駅などでは、急ぐ人のために左側を空けることがマナーとなっている。オーストラリアやニュージーランドでは逆に左側に立って右側を空けることがマナーとなっている 。 しかしながら、カナダトロントなどいくつかの交通機関では安全性の問題からエスカレーターでの歩行を推奨していない。
(中略)
●1967年に阪急電鉄梅田駅が現在の場所に移転した際、高層化で従来よりもエスカレーターが長くなるため、急ぐ人のための片側空けルールの導入が検討された。エスカレーターの利用状況を調べたところ、右側の手すりを持って立つ人が多かったため、右側に立って左側を空けるルールが考案され、左側を空けるよう促すアナウンスが放送されるようになった。この放送をきっかけに左側空けルールが広まった。
●1970年の大阪万博開催にあたって、大阪に世界各国から来訪客が集まると予想されたため、大阪人のマナー改善策としてヨーロッパの片側空けルールが取り入れられた。
……との記述があり、海外由来説、大阪万博由来説、阪急電鉄由来説などがある。
また、Wikipediaの注釈中に「幸運社 編『大人のマナー常識513』(PHP文庫,2005)p.263」(2005年刊)に記述があるとされているが、その記述とは、
エスカレーターは片側を空けておく
エスカレーターでは横に並はず、片側一列に並ぶのか一般的マナーになってきているようです。
ということらしい。つまり、少なくとも2005年時点では、「マナー」として呼びかけられていたことになる。
10年以上、マナーとして定着した習慣を、「マナーではない」と否定するのは、なかなか難しい。
通常の階段の段差(けあげ)は、公共施設の場合18cm以下の規定がある。エスカレーターの段差は、カタログにも載っていないようなので、ブログ記事から引用。
エスカレーターの蹴上寸法がカタログに載ってないので問い合わせ。
30度のとき:203.2mm
35度のとき:233.1mm
だそうだ。
つまり、この段差では、静止した階段としては建築基準法上は使えないことになる。そのため、エスカレーターを止めて、階段としては使えないわけだ。片側空けで事故が起きやすいのは混雑時だと思うが、混雑時にエスカレーターを止めて階段にするという方法はとれない。これは構造上の問題というか、止めて階段として使う発想がないんだね。節電や停電で、エスカレーターを止めたときのことを考えてない。
2列に並んで乗るといっても、家族や友人・恋人ならまだしも、赤の他人と並んでエスカレーターに乗るのは嫌だよね(^_^)。だから、片側空けをしないまでも、他者とは一段空けて、一段にひとりが乗る。それは人の心理なので、並んで乗れといわれても遠慮するのではと思う。よほど混雑しているのではない限り、2人乗れる幅があっても、一段にひとりずつ乗ることになるから、2列並びは難しいのでは?
エスカレーターには、幅の狭いものと幅の広いものがある。狭いものは二人並んでは乗れないから、当然片側空けも意味がない。問題なのは広い方。
物理的に片側空けをできないようにするには、狭い幅に統一すればいい。狭い幅であれば設置面積・空間も少なくて済むのだから、通常の階段も併設できると思う。急ぐ人は、階段を駆け上がれるようにすればよい。
エスカレーターを設置する前から、幅の広い階段であれば、階段も残されるのでいいのだが、狭い階段をそっくりエスカレーターに置きかえると、階段がなくなってしまう。また、私の最寄り駅がそうなのだが、高架化で駅を改築した場合、最初からエスカレーターのみを設置していると、階段の併設ができない。階段はあるにはあるが、ホームの外れの方に上るようになっているため、急いでいる人には不人気だったりする。そういう構造にしたのは、片側空けを想定してのことだったのではないかと勘ぐってしまう。
片側空け、エスカレーターでの歩行に関するマナーの呼びかけは、少々曖昧だと思う。
「片側空け禁止」「エスカレーター歩行禁止」と明示した方がいいのでは?
エスカレーターでの歩行を禁止するマーク(ピクトグラム)は、一般社団法人 日本エレベーター協会が作っている。
一般社団法人 日本エレベーター協会|エスカレーターのご利用について
当面、このマークをあちこちにベタベタ貼るしかないでしょ(^_^)
そこで、提案。
このマークを、エスカレーターの段差部分に、ずらずらと貼る(ペイントする)。
こんな感じに。
▼エスカレーターに歩行禁止マークをつける
※エスカレーターは、三菱電機のエスカレーターのカタログより。
人の心理として、禁止マークが常に目に入ると躊躇するものだ……多少なりとも道徳心がある人は。禁止マークがエスカレーターの乗り口にあっても、通過してしまえば目に入らないから、見なかったことにできてしまう。それでは効果が薄い。だから、ステップにずらずらとくどいくらいに並んでいる方が効果を期待できる。
ステップにはスリットがあるので、シールを貼るというよりペイントすることになると思う。機械的に摩耗する部分でもあるので、摩耗でペイントが落ちにくい工夫は必要だが。
検討してみる価値はあるのでは?