コンフェデ杯……当初の私の予想通りというか、全敗してしまった。
負ければ誰だった悔しいし、次は勝ちたいと思うものだが、「勝ちたい」という願望と、「勝ってやる」という決意の違いかな。
日本人の精神的な特性なのかもしれないけど、負けるととてもネガティブに落ち込んでしまう。「ダメだダメだダメだ……」と、碇シンジ(エヴァンゲリオンの)みたく自虐的に反省ばかりしてしまう。反省は必要なのだが、悪いところばかりを責めてしまう。気持ちが萎縮してしまうというか、勝つために必要な強欲な自信までも失ってしまう。
やはり、メンタル面が弱いのだと思う。
強豪国の強さは、テクニックもさることながら、メンタル面が強い。それは「自信」が支えているのだろう。
それは、強者の心理だ。
誰にでも欠点や弱点はあるものだが、弱点を気にせず、相手よりも有利な武器を前面に押し出す。弱点を打ち消す長所で勝負する。3点取られても、4点取れば勝てる……といった強欲さだ。
日本には、それが足りない。
試合後の選手のインタビューを見ても、自分たちの欠点ばかりを気にしている。欠点を克服することが、強くなることだと考えているからだろう。
欠点を克服することで、下限の能力はいくぶん上がるかもしれないが、上限の能力は伸びないままだ。必要なのは、上限の能力を上げることなんだ。
全敗を受けて、またまた監督解任論が出てくるのだが……
セルジオ越後氏「ここで言わなくていつ言うの? 監督解任の議論を恐れるな」 – サッカーキング
3戦全敗のグループ最下位。文字通り最悪の結果だ。ここで厳しく言わなくていつ言うというのか。普通の国であれば、監督解任騒動が起きるのが当たり前だ。強豪国がひしめく大陸と違い、日本はただでさえアジアという地理的ハンディを抱えている。人の三倍努力する、人の三倍議論することを恐れていては、一向にトップレベルに追いつけないよ。あと1年、選手も監督もゼロベースで考えるべきだろう。
毎度のセルジオ節ではあるものの、私が何度も書いていることだが……
セルジオさん、じゃ、誰が監督になったらいいの?
セルジオ氏のテレビでの解説は好きなのだが、こうして記事の論評になると、あるところまでは正論なんだけど、その先がないんだ。
監督を首にするのは簡単だろう。
問題は首にしたあとだ。1年後を託せる監督として最適なのは誰なんだ?
監督を交代するということは、チームをリセットすることだし、これまで積み上げてきたものを多少は活かすにしても、大改造をすることになる。
それができる監督とは、誰なんだ?
その候補を挙げて欲しい。
ブラジルみたいに、スコラーリ監督のような人を呼べるとは思えず、トップレベルの監督が日本に来てくれるのだろうか?
他国では、成績不振による監督交代はよくあるが、交代して成功した例は少ないように思う。代表チームだけでなく、クラブチームでも、シーズン途中の監督交代で成績が飛躍的に向上した例は少ないと思う。むしろ、途中交代はチームの成績を悪くすることの方が多いのではないか?
監督交代でよりチームが強くなるという保証はどこにもない。
サッカー評論家、ジャーナリストの方たちにお願いしたい。
監督交代論を展開するのなら、監督が誰なら日本がより強いチームになれるのか、具体的な提案として名前を挙げて欲しい。
そうじゃないと、監督交代論が妥当かどうかの判断や評価ができない。
今回のコンフェデを教訓として、W杯でどれだけプラスに活かせるかだ。
ポジティブに考えるなら、W杯前哨戦としてこの大会に参加できたことは、恵まれたことでもある。各大陸の代表として、8カ国にしかそのチャンスは与えられなかった。
日本は幸運な立場にいるのだ。
結果は残念だったが、いきなりW杯を迎える他国よりは有利な経験をした。
選手がこの経験を活かせないとしたら、誰が監督をやっても同じだろう。
本田がインタビューで語ったことが象徴的だ。
本田「自信の差がそのまま格になる」|コラム|サッカー|スポーツナビ
自信の差がそのまま格になります。百戦錬磨のイタリアはあれだけやられていても勝ってしまう。プライド、負けられないというものが自分たちを動かす力になる。僕らはとりあえず練習でやったことを100パーセント出そうとやるものの、勝ち方が分からない。
「勝ち方が分からない」……そこなんだ。
うまくパス回しをやる、いいサッカーをすることはできても、勝ち方がわからない。それは自信のなさの現れだろう。
「決定力がない」ともいわれるが、そうではなくて「勝ち方を知らない」のだと思う。
某テレビ局のキャッチコピーに「絶対に負けられない戦いが、そこにはある」というのがあるが、「負けられない」とネガティブな言葉を持ってくるのは、いつも負けていることの自虐的な考えかただ。
そうではなく「勝たなくてはならない」だ。
勝つことを前提とした考えかたにしないと、「自分たちは強いんだ」との自信にはなっていかない。
ともあれ、W杯まであと1年。
自信を持って大会に臨めるようにしてほしいと思う。
期待と応援はするぜ(笑)。