天文に関する新しい知見。
恒星フレア(太陽フレア)が及ぼす影響が、惑星の内部にまで影響を与えているかもしれないという研究報告。
太陽フレアはときどき起こっていて、それが地球を直撃すると深刻な影響をもたらすことは予想されているが、惑星を加熱するとしたらどんな災害になるのだろうか?
トラピスト1の恒星フレアが惑星を内部から加熱、居住可能性にも影響か | sorae 宇宙へのポータルサイト
恒星の表面で発生する爆発現象「恒星フレア」と、それに伴って発生することが多い「コロナ質量放出(CME:Coronal Mass Ejection)が、恒星を周回する惑星の内部加熱に影響を与えている可能性を指摘する研究成果が発表されました。
研究の対象となったのは、地球から約40光年の距離にある「TRAPPIST-1(トラピスト1)」星系です。TRAPPIST-1は、質量が太陽の12分の1という小さな恒星(赤色矮星)で、その周囲を地球のような岩石でできている可能性のある惑星(岩石惑星)が少なくとも7つ公転しています。
TRAPPIST-1は太陽よりもはるかに小さいため、惑星系のスケールも太陽系よりはるかに小さくなっています。最も外側の惑星「TRAPPIST-1 h」の軌道でさえ、太陽系の水星軌道のずっと内側を公転しています。
それでは、この研究は「TRAPPIST-1」星系の惑星が持つ居住可能性を理解する上で、どのように役立つのでしょうか。
まず、私たちが住んでいる太陽系と地球に置き換えて考えてみると、太陽フレアが地球内部の地質活動に影響を及ぼしている可能性があることになります。近年、太陽フレアが注目を集めているのは、太陽活動が通信障害や大規模な停電を引き起こす可能性が指摘されているからです。しかし、太陽フレアなどの現象が与える影響や相互作用は、地球大気とそのすぐ傍の宇宙環境に限られていると考えられてきました。
「The Astrophysical Journal Letters」誌に掲載された論文の共著者である、ベルン大学の地球物理学者ダン・バウワー(Dan Bower)博士は、「地球をこの研究の出発点とすると、地質活動は惑星の表面全体を形成しており、最終的に惑星の冷却によって引き起こされています」と語っています。つまり、地質活動には加熱と冷却のプロセスが必要だということです。
さらに加えて、「地球の内部には放射性元素が存在していて、それが熱を発生させることで、45億年を超える地質学的プロセスの持続を可能にしています。しかし、すべての惑星で生命の進化に必要な地質学的プロセスが確立されるために、放射性元素は必要なのかどうかという疑問が生じます」と述べています。
これはなかなか興味深い。
太陽フレアが地球を直撃すると、人工衛星や電子機器に障害が発生することが危惧されている。
過去の事例では、
これらの事例は、大規模なフレアが直撃したわけではなく、かすめた程度の場合だ。幸いにも近代ではまだ直撃には見舞われていない。運が良かったということだ。
と、このようなフレアは、横から見た場合の様子。これが地球から見て真正面で起きると、直撃を食らうことになる。
その確率は、2012年時点の予想では、「今後10年間に発生する確率は12%という研究も報告されている」という。2023年の現在からすると、その12%の発生はなかったことになる。
ある意味、大地震の発生確率と似たようなことで、いつか起きるが、いつ起きても不思議ではないともいえる。
大規模太陽フレアの直撃は、現代文明を破壊する可能性がある。その影響は数週間続くともいわれ、通信環境は遮断され、大規模停電が発生し、電子機器の多くで障害が発生するという。そうなると、電子機器を搭載した交通機関も麻痺し、社会は強制的なロックダウンになってしまう。
加えて、地球の内部が加熱されるとしたら、地震の頻発などの現象も起こるのかもしれない。太陽フレアで直接死に至ることはなくても、二次的な死亡原因になりえる。
あまり考えたくない事態だが、起こりうる未来のひとつではある。