アニメ、マンガの人材育成についての記事なんだが……
ちょっと正しくない認識があるので、ツッコミ。
アニメやマンガの人材育成(中村伊知哉) – BLOGOS(ブロゴス)
マンガが自営業であるのに対し、アニメは組織の分業仕事。だから、アニメ業界が欲する人材はサラリーマン。
私のブログの過去記事にも関連しているが……
→もっと根本的な問題があるよ→「日本のポップパワー発信10策」
→アニメーターでは食えなかった
→最低賃金とは無縁のアニメ業界
アニメ業界、特に原画や動画の絵を描くアニメーターは、大手の制作会社を除いて、下請けの制作会社に属するアニメーターは「正社員ではない」のだ。
だから、サラリーマンではないし、最低賃金の保証もない。
なぜそんなことが可能かというと、会社に属してはいるが正社員ではなく、会社が仕事と机を提供しているだけで、アニメーター個人は自営業みたいな扱いだからだ。
法律的には、社員ではないし、アルバイトでもない。つまり、雇用しているのではないから、最低賃金の保証も必要ないし、社会保険も必要ない。
だけど、会社に属しているから束縛はされる。
ブラック企業の話題がいろいろと出てくるが、アニメ業界の下請けはブラック企業以上にブラックなんだ。これに比べたら、ユニクロなんて天国だよ(笑)。
現在は、私がアニメーターをやっていた昔に比べたら改善はされてきているが、下請けの現状はあまり変わってないだろうね。その下請けも、日本国内は少なくなった。20年くらい前は、台湾や韓国に外注に出していたが、労働コストが上がったために、最近はタイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどに外注されているという。
私が属していた制作会社は、現在も生き残っている数少ない下請けだ。あの頃より待遇はよくなったのかな?……とも思うが、一枚の単価が上がっただけで、基本的には変わっていないだろう。そうじゃないと、やっていけないと思う。
アニメの制作費そのものが、相変わらず安いのだから、どこでコストを削るかという話。結局、末端のアニメーターで削るしかない。
デジタルになってきたというが、原画、動画はほとんどが手描きだ。CGアニメもあるが、日本らしいアニメは、手描きだからこそ表現できるものでもある。
アニメ業界で働くすべての人々に、恵まれた労働環境が提供される道のりは、まだまだ遠い。