今日のメタバース関連記事は、肯定的な内容。
 不思議なことに、肯定的な発言は日本国内から出てくる傾向にある。いままさにメタバース事業を展開している企業からの発言だから、肯定的にならざるをえない事情もあるのだろう。

「5年後、メタバースはビジネスの主流になる」――NTTデータの見解を支える“2つのカギ”:Weekly Memo(1/2 ページ) – ITmedia エンタープライズ

「メタバースの利用はビジネスやワークスタイルにおいて早ければ5年後、主流になる可能性がある」

(中略)

 メタバースの定義について、山田氏は「現時点ではさまざまな定義が存在している」と前置きした上で、次の5点が共通認識になりつつあると述べた。

  1. 物理世界がシミュレーションされ、実世界との融合が可能なサイバー空間
  2. アイデンティティーを反映したアバターで参加し、他のユーザーと空間を共有可能
  3. 経済活動が存在する
  4. ユーザーがアイテムなどを構築可能
  5. 高い没入感を持つことが可能

 メタバースで現在利用されているサービスは「コンテンツ鑑賞」「イベント開催」「ミラーワールド」「マルチプレイヤーゲーム」「不動産内覧」「オンライン会議」などに分類できる(図1)。

図1 メタバース上でのサービスの分類(出典:NTTデータの記者説明会での資料)

(中略)

 ただ、こうした動きを見ても、メタバースが世の中にどんなインパクトを与えるのか、分からない人が多いのではないか。山田氏は「カギとなるのはXR(クロスリアリティー)技術とそれを採用したデバイスだ」と強調した。

 XRとはVRやAR(拡張現実)などの技術の総称だ。VRデバイスはすでにゲーム機のグローバル市場で2021年に20兆円規模に達しており、ゲーム機の新しいスタイルとして定着している。

(中略)

 さらに同氏は「XRデバイスを使ったメタバースはコンピューティングとコミュニケーションの在り方をガラリと変える可能性がある」強調し、「だからこそ、1000兆円近い市場規模やMetaによる年間1兆円投資の話が出てくるのだろう」との見方を示した。

 こうなると、デジタル化されたビジネスは全てメタバースでやりとりされるようになり、それに伴ってワークスタイルもメタバースが中心になっていくだろう。

 可能性の話としてはわかる。
 しかし、話はそう単純でもなさそうだ。
 メタバース、メタバースと唱えているのは、ザッカーバーグ氏だけで、Meta社の社員ですら冷ややかな反応をしているらしいので、いささか期待しすぎな気がする。

 テレワークでもそうなのだが、テレワークで仕事ができる職種は限定的だ。すべての労働をテレワークにできないから、満員電車は相変わらずなんだ。
 メタバースで仕事ができる人は、もっと少ないだろう。それが主流になるとは思えないのだが?

 『「お粗末なテレビゲーム」とメタバースに辛口意見』でも書いたが、現状のメタバースが、あまりにも未完成で稚拙なので、これでは期待とのギャップが大きすぎて、普及の障害になってしまう。
 また、『メタバースで働いてみた実験結果は』で触れたように、ストレスが多くかかるために健康被害が出る場合もある。
 なにごとにもメリットとデメリットの両面があるものだが、メタバースにデメリットを上回るメリットがなければ、普及はしないだろうね。

 企業の場合は、儲かるかどうかだ。どれだけの利益を生むか。それしだいで、普及するかどうかが決まる。
 バーチャル渋谷は、大きな収益にはなっていないようだしね。

バーチャル渋谷

 「5年後、メタバースはビジネスの主流になる」

 はたして、その予想は当たるかどうか。
 新しい技術、新しいトレンドが出てくると、こうした予想がされるのだが、外れることはよくある。確率的には五分五分かな。

 5年後(2027年)にこれを読んでいる、君。
 メタバースはどうなっているのだろうか?

諌山 裕

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