2020年2月から配信されてきた「ロック&キー」が、2022年8月10日から配信のシーズン3で完結した。シリーズものにありがちな、ズルズルと引っ張るようなことはせずに、すっきりと物語を終わらせていた。
結末に導く「ロック&キー」シーズン3は、『理想的な長さ』と製作者が語る
2020年にデビューした同シリーズは、ベストセラーコミック『Locke & Key』を原作とする待望のドラマ化で、謎、愛、喪失、そして揺るぎない家族の絆と成長の姿を描いた物語だ。
(中略)
『作品に取り組み始めたとき、ロック一家とキーハウスの冒険が納得のいく形で終えるには、3つのシーズンが理想的な長さだと感じた。』と、当初からの計画であったことを説明。続けて『作家として、(コミックの著者である)ジョー・ヒルとガブリエル・ロドリゲスの素晴らしい物語を、我々が思い描く形で実現させてくれた』と感謝を述べ、これからは魔法の鍵を自身の中で大切に閉まっていくと思いを吐露している。
原作付きではあるが、同時期に公開された「ストレンジャー・シングス」とイメージが似ている。
物語上の現実世界に、邪悪な異世界の出入口が開き、そこに主人公たちの家族がかかわり、子供たちの活躍で邪悪を退治する……という展開。
アメリカ版現代ファンタジーの定番の設定だともいえる。
2年で3シーズンだったから、制作ペースとしては早かったね。
一番年下の子役の「ボード・ロック」役のジャクソン・ロバート・スコットは、9歳〜11歳だったわけだが、シーズン3ではずいぶん成長していた。物語上は2年は経過していないので、子役を使う場合の難しさだね。
長女の「キンジー・ロック」役の エミリア・ジョーンズは、18歳〜20歳と物語上の年齢に近い歳だったが、彼女も少女から大人っぽい女性になった。シーズン3では、まだ18歳前の設定。
出演者の中で一番光っていたのは、キンジーだったね。
魔法の鍵を最初に作ったロック家の先祖が、なぜ鍵を作れたのかの理由は曖昧なままだった。鍵の製作にはロック家の血が必要となっていたが、なぜロック家だけなのかの説明はなかった。まぁ、魔法は合理的な理屈ではなく、制約として意味づけなので、たいした問題ではないのだろう。
それにしても、「ストレンジャー・シングス」の母親もそうだったが、「ロック&キー」の母親も難ありの母親だ(^_^)b
親よりも子どもの方がしっかりしている。困った母親の子どもは、いい子には育ちにくい気もするのだが……。
ほかのレビューでも書いたが、家族が中心になるドラマでは、これでもかというくらい家族愛の描写が出てくる。
本作も命がけの家族愛満載だ。
それが、アメリカの理想でもあるのだろう。
歴史のある、でっかい家の中にたくさんの秘密が隠されている、という設定自体が欧米的だ。富豪ではないのに、あんな大きな屋敷に住めるなんて、日本では考えられない。日本の家屋事情では、走り回る広さはないし、狭すぎてファンタジー要素が著しく乏しい。
1シーズンが10話ずつの、全30話なので、一気見するのはそんなに大変ではない。
アメリカン・ファンタジーを楽しむのにちょうどよいと思う。