働き方改革として、政府はいろいろと提言するが、現状の労基法が遵守されていない状況では、なにをいってもあまり効果はない。
労基法違反として摘発されるのは、知名度の高い大企業ばかりで、中小企業はスルーされている。査察する人員が足りない事情もあるだろうが、結果として野放しになっている。
労基法を厳守させて、違反企業は厳しく罰せられれば、多少はマシになる。プレミアムフライデーとかキッズウイークとか、小手先のパフォーマンスをやっても意味はない。それができるのは、余裕のある大企業や少数の優良企業だけ。多くの人が勤めている中小企業には、馬耳東風なのだ。
以下の記事の提言も、虚しいほどに現実味が乏しい。
有休取得「3日増」政府目標、実施企業に助成も : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
政府は、2018年度の各企業の年次有給休暇(有休)取得について、前年度比で「3日増」を目指す新たな目標を掲げる方針を固めた。
(中略)
政府は現在、「20年に有休取得率70%」を目標とするが、16年の調査では48・7%にとどまり、労働者1人あたりの有休は年間8・8日だった。
電通のブラックぶりが問題になったが、私も関わっているこの業界、広告・デザイン業界は、どこも似たり寄ったり。トップに君臨している電通がそうなのだから、上に習えでほとんどの広告代理店やデザイン会社は同等のことをやっていた。
電通などの大手広告代理店から仕事を下請けする、中小の会社は電通に対応しなくてはいけない。電通が深夜まで仕事しているのに、下請けが先に帰るわけにはいかない。遅い時間でも連絡が入ることは珍しくないからだ。対応できないと、次の仕事が来なくなる。下請けは元請けに隷属なので、合わせることになる。
私は、広告・出版業界で仕事をしてきたが、フリーランスの時期を除くと、4つの会社に勤めた。どこも小さなデザイン会社で、従業員は10人以下の小企業だ。
その4つの会社に共通していたことは、残業代なし、社会保険なし、有給休暇なしだったこと。そのうち1つは、交通費の支給もなかった。
労基法なんてあってないようなものだった。経営者は知っていても無視していた。
この業界は、それが普通だったのだ。
今でも、そういう会社は少なくないはずだ。
社会保険は、法人であれば加入が義務づけられているが、小規模の会社は入っていないところが多い。しかし、その義務を果たしていなくても、摘発されることは希であり、罰則は軽く(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)、摘発されなければ未納分を追徴されることはない。
摘発されず、罰せられないのなら、加入しない方が安上がりだ。
経営者は、そう考える。
私が現在勤めている会社も、社会保険には入っていない。
だから、私の健康保険は国保だ。
前にも書いたが、国保の保険料を払えなくて滞納していたら、給料差し押さえで滞納分を強制的に徴収された。一括では無理なので、給料の約3分の1を毎月天引きされた。
私の安月給で、夫婦二人が食べていくのがやっとなのに、情け容赦なく手取り給料の3分の1を持って行かれた。苦しい家計が、ますます苦しくなった。金がないから1日1食にするが、給料日前になると、食費は底をつき、ご飯を茶碗一杯に卵1個……卵かけご飯だけで済ますこともあった。
私が会社員でありながら国保なのを、区の担当者は把握しているはずだが、なぜか会社が社会保険に加入していないことは問題にしないのだ。
会社の所在地が別の区であるため、居住地の区役所の管轄外だから手が出せないのかもしれない。だとしても、会社はお咎めなしで、個人は締め上げるというのは解せない話。
有休取得「3日増」なんてのは、笑っちゃうね(^_^)
そもそも有休のない勤め人には無縁の話だ。
現状の労基法すら守られていないのに、働き方改革なんて茶番だろう。
川柳をひとつ。
労基法
絵に描いた餅
誰がために