アメリカという国が、どんな国なのか?
というのが、少し見えてくる記事。
以下の記事は、異なる2冊の書評なのだが、アメリカ的なものの考え方がわかる記事でもある。
シー・シェパードがあそこまでやる理由~『エコ・テロリズム』 浜野 喬士著(評:栗原 裕一郎):日経ビジネスオンライン
〈ある種の狂気は、単に支離滅裂であることより、むしろ強固な論理的一貫性に端を発する。狂気には狂気の論理というものが存在するのだ〉
自由と民主主義のために、これがどうしても必要なの!~『銃に恋して』 半沢 隆実著(評者:尹 雄大):日経ビジネスオンライン
「先住民と戦いながら土地を自分のもの」にし、独立戦争において民兵として武器をとる中で培ってきた「生存=戦い=銃」の経験は、「銃が築いてきたアメリカ」という視座を不可侵とした。
平和と秩序の源泉は、個人の武装にあり、銃は欠かせないというわけだ。
自由、正義、民主主義、人権、平和……といったポジティブな言葉のイメージは、アメリカの専売特許的な感じがある。
だが、一方でもっとも強大な軍隊を持ち、いつもどこかで戦争をしている国であり、アメリカ国民で一定の要件を満たせば、誰でも銃を持てる国でもある。
二律背反が成立している、不思議な国……アメリカ。
アメリカの言う自由や平和は、言うことを聞かない相手に対して、銃を突きつけ、
「暴力はいけない、銃は捨てなさい、話し合いで解決しよう」
と言っているのに等しい。
そして、
「抵抗するなら、射殺する」
と、警告もする。
素直に従うなら、子分として(日本のように)受け入れられるが、抵抗すれば(イラクのように)武力で制圧される……。
シー・シェパードのやり方はテロリスト的ではあるが、規模は小さなものだ。同じやり方で、湾岸戦争やイラク戦争を国家レベルでやったのがアメリカだろう。
自分たちが正義……正しいと信じていることでは、狂気の論理も紙一重だ。
ハリウッド映画のヒーローたちも、戦うこと……力を誇示して敵を倒すことで正義をまっとうする。
勧善懲悪はシンプルでわかりやすく、白黒がはっきりしていて爽快だ。
娯楽として観る分にはいいが、そのロジックで現実の戦争も戦っているような節がある。
思想的な根っこは同じだということかもしれない。
オバマ大統領は核廃絶を唱えたりしていたが、かといって自分から核兵器を捨てる気はない。
「君たちが先に捨てなさい。そうすれば、私も銃を収めよう」
といっているだけだ。
つまり、自分の方が強い立場でいることが前提である。
基軸通貨であるドルの価値が下がり続けると、アメリカの覇権が終焉する……といった予測もあるのだが、なかなかどうして、そう簡単にはドルは紙くずになりそうにない。
覇権国はいずれ衰退する……というのが、歴史の教訓。しかし、次世紀の覇権国が中国? ロシア? ユーロ? と考えると、アメリカの方がマシなのかな……とも思えてくる。
ともあれ、良くも悪くもアメリカは面白い国だ。
正義のヒーローは、映画の中だけにしてほしいけどね。