「2001年を振り返って」

年末年始の行事には、ほとんど無縁なのだが、周りはなにかと騒がしい。

TVは特番ばかりだし、しかもくだらないものが多い。無理に笑わせようとしているバラエティ番組や、芸能人の隠し芸なんて見ていても退屈なだけだ。馬鹿騒ぎが悪いとはいわないが、どこも同じことをやっているのが横並びでつまらない。紅白歌合戦なんて、もう20ン年見ていない。

ケーブルTVの映画チャンネルでは、今年話題になった映画をまとめて再放送しているが、もっぱら映画ばかりを見ている。

それはさておき、今年は自分にとってどんな年だったのか? 振り返ってみようか……。

毎年、年の始めには、「今年こそ」とか思うものだが、過ぎてしまうと「もう今年も終わった」となってしまう。

記憶に残る一年というのは少ない。

2001年もそんな特筆するような年ではなかった。

これまでの人生で、特筆するような年は、数えるほどしかない。まぁ、たいていの人にとってそうなのではないかと思う。

最良の年であれ、最悪の年であれ、特別な一年となるのは少ない。良くもなく悪くもなくと、なんとなく過ぎた一年になることが多い。

かといって、去年とは違う今年だったし、来年も今年とは違ってくるだろう。毎年、自分が歳を重ねるということ以上に、なにがしか変化があるものだ。

私にとっての今年の一番の変化は、新人賞に挑戦を始めたことだ。とはいうものの、実質的にそのために費やして時間は、一年のうちの4分の1にも満たない。多くの時間は、日々の仕事と雑事に追われた。不完全燃焼だったというのが、正直なところだ。

完全燃焼――それができれば、もっと充実した一年となるのだが……。

性格的に、なにかひとつのことに没頭して、とことん突き詰めたいというタイプなので、中途半端が一番嫌なのだ。だが、現実には集中しようとしていても、時間がなかったり邪魔が入ったりで、たびたび横道にそれてしまう。いったん横道にそれてしまうと、軌道を修正して元に戻すのに、多大な精神的労力が必要となる。これの繰り返しである。

結果として、出そうと思っていた新人賞に、作品が書き上がらずに断念したことも少なくない。そして、執筆が中断した作品は、休眠したままになっている。完成させたいとは思うものの、切れてしまったモチベーションはつなぎ直すのが難しいのだ。

焦ってみても仕方のないことではあるが、いつまでも時間があるわけでもない。けっして若くはない年齢なので、残された人生の中で有効に使える時間は少ない。

誰にでも、人生の中でピークの時期がある。つまり完全燃焼できる時期ということだ。

それが若い頃に来る人もいれば、中年になってから、あるいは老年になってからの人もいるだろう。

スポーツ選手などは、選手寿命の問題もあり、若い頃に花を咲かせないとダメだ。ただ、10代で金メダルを取った人などは、あとあと大変だろうなーと、人ごとながら思ってしまう。

作家であれば、老いてから傑作を書くということもある。だが、若い頃からプロとして作品を書き始める方が、時間的余裕はあるとはいえる。

いずれにしても、私にはまだ人生の絶頂期は来ていない(笑)。

これからが絶頂期なのだ――と、私はプラス指向する。そう思わなくては、コツコツと地道な努力は続けられないものだ。

来年こそは、もっと面白い一年に――。

毎年のことだが、そう思う大晦日である。

諌山 裕

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