前回の「戯れ言」について、高校時代からの友人Sが、励ましのメールを送ってくれた。

今お前ほど自分の道を歩んでいる奴はいない。
お前は正しい道を歩んでいる。間違いなく!
お前は成功している。絶対に!
苦しいかったらいつでも言えよ、俺達がいる。
いつでも戻ってこいよ。俺たちはお前の里でまっている。

予想外のメールだったが、うれしいと同時に少々気恥ずかしい(笑)。

現時点で私のサイトを定期的に訪れてくれている人は、せいぜい20人前後である。大部分は友人・知人だと思う。おおっぴらに宣伝しているサイトではないからだ。

友人Sとは、もうかれこれ10年以上会っていない。高校時代の友人の多くは、直接的な交友が途切れて久しい。それがインターネットを通じて、最近メールでやりとりするようになった。記憶の中の友人は、最後に会ったときのイメージでしか思いうかべることができない。それはお互い様ではある。

親兄弟ともめったに会えない状況なので、電話やメールでの関係が主体だ。数年ぶりで顔を会わせると、以前の記憶とのギャップに時間の経過を切実に感じるものだ。その度に自分も同様に歳を取ったのだと思い知らされる。自分は変わっていないつもりでも、周囲は確実に変化している。

「自分の道」が「正しい道」かどうかはともかく、私の生き方はわがままな生き方である。わがままであるがゆえに、親や妻に迷惑をかけることもしばしばだ。私を見守り、ときに支えてくれる身内には感謝するばかり。その感謝の気持ちを“結果”として達成することが、私の成すべきことだと思っている。

だが、自分でも納得できるような結果は、そうそう簡単には出ないのだ。「故郷に錦を飾る」などというほど大げさで古めかしいことではないが、私自身が満足していないようでは「成功している」とは、とてもいえないんだ。

友人Sは以前私に、「お前だけは変わらないでいてほしい」というようなことをいった。若かりし頃に、夢を語り合った友として、私に期待してのことだろうと思う。友人は早くに結婚し、子供も生まれて、父親としてまっとうな人生を歩んでいる。それはそれで素晴らしいことだと思うし、私にはできないことだ。私も結婚はしているが、子供はいない。私たち夫婦にとっては、ふたりで生活を共にすることが望みだったからだ。

私には実現が可能かどうかすらわからない、“夢”への執着が大きかったのだ。ある意味では私は大人になりきれていないともいえる。世間の常識からは、アウトサイダーな生き方だと思う。

なにかを得るには代償がともなう。タダで手には入るものはないからだ。

私が自分の夢を手に入れるために、これまで払った代償はかなりのものだ。時間的にも金銭的にもである。加えて家族の精神的な支えも代償のひとつだ。

私に天才的な能力があれば、もっと早くに夢は手に入っていただろう。だが、私は天才などではないし、並はずれた努力家でもない。もちろんそれなりの努力はしているが、ときに回り道をし、ときに怠けてしまう人間だ。そのため遅々として歩みが進まないこともある。

そんな私でも、夢へのマラソンを完走できるのではないかと思っている。時間はかかってもいいから、ゴールに辿り着けるかもしれない。順位は問題ではない。自分で納得できればいいんだ。しかし、マラソンにも時間制限がある。制限時間内に完走できなければ、競技は打ち切られてしまうのだ。ここでいう時間制限とは、年齢的なことだ。もう若くはない。そもそものスタートが遅かったので、人よりも10年遅れても気にはしない。ただ、歳を取ればそれだけ意欲的に仕事に取り組める時間は乏しくなる。余力のあるうちに次のレースに参加して、もっといい結果を出したいのだ。

先の戯れ言は、鬱積した気持ちを吐露したものではあるが、弱音を吐いているわけではない。自分を叱咤していたのだ(笑)。

友人Sのメールは、とても励みになった。

友人だからといって、励ましの言葉を送ったりはなかなかできないものだ。田舎に帰ることはあまり考えられないが、君の気持ちをありがたく受け取っている。

良い友人を持った私は、幸せ者だ。

友よ、私は元気だ。そしてまだまだ頑張るつもりだ。ご心配なく。

諌山 裕

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