企業が環境問題について、理念の一つとして掲げることは、ブームになっているようだ。
 とはいえ、商品は売りたいわけで、売上を伸ばすことと環境問題との矛盾を埋めることは難しい。
 その典型的な例が、自動車だ。
 温暖化の最大の原因とされる、二酸化炭素の排出は、自動車がその約3割を占めているという。
 つまり、ガソリン、軽油等を使う内燃機関のエンジンを使った自動車を減らすことが、「環境にやさしい」ことになる。
 しかし、自動車メーカーはそれでは困ったことになる。
 で、この記事。

Yahoo!ニュース – 毎日新聞 – 新車販売 国内で不振 売れなくなったのはなぜ?

■29年ぶりの低水準■
 国内の乗用車販売(軽自動車を除く)のピークは、バブル経済末期の90年度で、年間590万台が売れた。88年発売の日産自動車「シーマ」は、高級車ブームに火を付け「シーマ現象」という流行語まで生んだ。以後、減少傾向が続き、06年度は359万台(前年度比8.3%減)に。90年度比4割減で、29年前の水準にまで落ち込んだ。
 06年はトヨタ自動車と日産が、それぞれの主力車であるカローラ、スカイラインを全面改良し、話題性のある新車は多かったが、カンフル剤にはならなかった。
 維持費が安い軽自動車は06年度、過去最高の203万513台(同4.2%増)を記録したが、その軽にも陰りが出て、4月は16カ月ぶりに前年同月を割り込んだ。

 環境問題からすれば、車が売れないことはいいことになる。
 自動車メーカーは、環境にやさしい車を謳って、二酸化炭素等の排出量の少ないものを開発しているが、50%削減したとしても、販売数が2倍になれば、結局排出量は変わらないことになる。
 つまりは、自己矛盾を抱えることになる。

 究極の環境対策としては、ガソリン車、ディーゼル車の撤廃だろう。
 それをしない限りは、焼け石に水。
 肺ガン予備軍に、タバコの本数を減らしてタバコを吸い続けさせ、肺ガンにならないようにしようとするものだ。それでは根本的な解決にはならない。
 エコ車などといいながら、次々と新車を発表して売上を伸ばそうとする自動車メーカーの「環境にやさしい」という主張には、いつも胡散臭い疑問と矛盾を感じている。

諌山 裕

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