新型コロナの空気感染説は、早くから取り上げていたのだが、またひとつ、有力な事例が確認されたようだ。
それは密室中の密室でもある、飛行機の機内での感染事例だ。
航空機内「会話なし」罹患か…コロナ感染に新証拠!? WHO技術責任者「空気感染排除できない」 村中璃子氏「日本の対策はすでに想定」 (1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
国内で感染が高止まりしている新型コロナウイルス。旅客機でたまたま前後の席に座り、面識も会話もなかった人に感染する事例も発生した。世界保健機関(WHO)の技術責任者は、接触感染や、せきやくしゃみなど飛沫(ひまつ)感染に加え、結核やはしかのように微粒子で空気感染する恐れがある「新たな証拠が出てきている」との認識を示しており、注意が必要だ。
(中略)
空気感染への対策については「基本的にはこれまでと変わらない」と村中氏。
過去記事の関連記事は以下に。
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新型コロナ、空気感染の可能性
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飛行機は電車みたいに窓を開けて飛ぶわけにもいかないしね(^_^)b
高度1万メートルを飛行中に、
「換気のため、窓を開けます」
なんてことをしたら、乗客は窒息&凍死してしまうよ。
記事中に、「空気感染への対策については、基本的にはこれまでと変わらない」とあるのだが、それは違うだろうと思う。
この人、ほんとに専門家なのか?
空気感染の定義というのは、じつは明確に定まっていないという。
一説には、「粒子径が5㎛(マイクロメートル)以下の飛沫核による感染」とする場合がある。しかし、これは定説にはなっておらず、目安程度の扱いらしい。
別の説では、
これに対し、「dropletは径5μm以上の粒子で1~2m以内に落下するものという、実生活空間ではほぼ意味のない定義を信じて疑わない人たちが混乱する。その上、飛沫が乾いてできるdroplet nuclei(飛沫核)だけが空気感染を起こすと誤解している人たちも多いが、皆が知っている通り、それ以上の径でも空気感染を起こさないわけではない。だから、空気感染の定義に粒子の径や感染までの時間や距離の要素を入れるべきではない」と述べた人がいました。
(中略)
──空気感染と言えば、麻疹、水痘、結核が挙げられ、さらにそれ以外に空気感染するものはないという意見さえもあると聞きます。
西村 そうした漠然とした固定観念こそが、感染様式の理解を妨げています。本当にそうでしょうか。私は、(1)客観的に感染したことが分かりやすい、(2)伝播関係が見やすい、(3)症状がはっきりと分かるケースは免疫を持たない場合に起こる事象である──と、この3つがそろっていることが麻疹、水痘、結核で空気感染があることを分かりやすくしているだけなのだと思っています。一方で、多くのインフルエンザ研究者は、インフルエンザでも短い距離での空気感染はあると考えていますが、インフルエンザに詳しくない人はそれを良しとしません。先の3つの感染症と違って、ある程度皆が免疫を持っていることが多く、症状が顕在化しないケースも多いし、その季節になると患者が多いのでどこで感染したか特定が難しいからです。日常的にある感染症でありながら一般には典型的な条件がそろう頻度が少ないだけとも言えます。検証するのが難しいからといって、「空気感染はしない」とは言えません。インフルエンザでも空気感染と判断できる典型的な実例もありますし、環境中でのウイルスの検出や実験室での検証結果といった、空気感染を示すデータはそろっています。
要点をまとめると、「粒子の大きさが問題なのではなく、ウイルスを含む飛沫が感染経路となるなら、空気感染といえる」ということかな。
飛沫の粒子径が重要なのは、その小ささによって感染対策の要となるマスクの性能が問題になるからだ。
飛沫核が1㎛以下だと、通常のマスクでは素通りしてしまうから役に立たない。
マスク性能には、BFE(約3㎛)、VFE(約1.7㎛)、PFE(約0.1㎛)と3つの基準がある。
もっとも厳しい基準のPFE試験をクリアしたマスクしか、効果は期待できない。
ところが、市販されているマスクで性能表記をしていないものは多い。「高性能フィルター」としか書かれていなくて、どう高性能なのかは不明だったりする。
たとえば、人気だというユニクロのエアリズムマスクの場合。
※1:マスクは感染(侵入)を完全に防ぐものではありません
・(初期値)バクテリア飛沫捕集‥(BFE)99%カット※2
・(初期値)花粉粒子捕集効率‥99%カット※3
試験機関:一般財団法人カケンテストセンター ※2:ASTM F 2101 バクテリア飛沫捕集(ろ過)効率試験 ※3:花粉粒子捕集(ろ過)効率試験
というのが、性能表記になっている
BFE……つまり、約3㎛以上の粒子しか捕集できないので、それ以下の小さな飛沫核は素通り。これでは空気感染対策にはならない。
空気感染対策をするのなら、マスクの性能は限定される。使えるマスクと使えないマスクがあるということで、なんでもいいからマスクをすればいいという、現状の対策ではダメなんだ。
また、空気感染するのであれば、ソーシャルディスタンシングが2メートルでは足りないことにもなる。
ある実験では、1㎛の飛沫は10メートル先まで浮遊するとされている。それは富岳のシミュレーションでも示されていたのに、言及する専門家はいなかったのだが……。
ソーシャルディスタンシングが10メートル必要とかいうことになったら、現実的には不可能だよね。
じゃあ、どうするのか?って話。
テレビやマスコミに出てくる、いわゆる専門家と呼ばれる人たちは、なぜか空気感染について認めたくないようだ。それを認めちゃうと、これまで主張してきた感染対策を根本から見直さなくてはいけないからかもしれない。
「空気感染するから、通常のマスクは無意味です」
「空気感染するから、2メートルのソーシャルディスタンシングでは足りません」
「空気感染するから、3密を回避するには、人と人との距離は10メートル以上が必要です」
「空気感染するから、ビニールやアクリル板の仕切りは無駄です」
「空気感染するから、電車がもっとも危険な場所になります」
……とまぁ、こういうことをいわなくちゃいけなくなる。
しかしまぁ、空気感染することは、説のひとつとして流されるのだろうね。
なかったことにしないと、大混乱になってしまう。