SNSでフォロワーや「いいね」の数を競うのは、いささか病的な承認欲求な気がする。
「認められたい」という気持ちは誰しもあるものだが、それが数字となって現れ、数字が多いほどいいというのは、本来の目的から離れているように思う。

それはまるで、お金を稼ぐような感覚で、フォロワーや「いいね」の数が多いほど「儲かった」気分になるのだろう。
なにかに似ているなと思ったら、ゲーム(RPGなど)内でHPを稼いだり、コインを集めたりするときの満足感と同じような感覚ではないだろうか。

フォロワーのシステムが、うつ病を発症するかもしれないという記事。

フェイクなインスタアカウント「フィンスタ」が流行る理由 | AMP[アンプ] – ビジネスインスピレーションメディア

フィンスタグラムーーこんな言葉をご存じだろうか。

フェイク・インスタグラムを省略してフィンスタグラム、フェイク・ニュース(嘘のニュース)と同義の「嘘のインスタグラム」アカウントのこと。このフェイク・インスタグラムが今10代の女子を中心にひそかな人気だそう。

本当の自分を取り戻すチャンス、と煽る心理学者がいたりもする、何かと注目を集めているフィンスタグラム。若者たちは何を目指しているのだろうか。

(中略)

ところが、このフォロワーの仕組みが近年の調査で心理的負担を与えていると指摘された。他人のインスタグラムアカウントを閲覧しては、「あの人はこんなに幸せそうなのに自分は毎日平凡な暮らしだ」「こんなに贅沢な生活をしている家族がいる一方でうちは日々の生活で手一杯」「みんなが旅行に出かけているのに私だけ仕事」など、自分との違いを自らわざわざ再認識しては気分が滅入るというものだ。

インスタグラムで見ず知らずの人をフォローし、その「知らない人」の数が多ければ多いほど、うつ病の兆候を発症しやすいとの研究発表もあった。つまり、誰か(のインスタグラム)を認め、人気を支えているとされるフォロワー自身が、真逆の心理に陥り心が病んでしまうという状況だ。

この「他人との比較」は、心理学の世界で社会的比較と呼ばれる。人々は様々な事柄を無意識のうちに自分と比較し、比較することによって自分の価値を見出したり、反対に不幸な気分に陥ったりするというもの。他人と比較することに強くこだわる人は特に心理的ダメージを受けやすく、インスタグラムで知らない人の生活を垣間見れば見るほど劣等感や孤独感、無力感に襲われることが判っている。

私はSNSのアカウントは持ってはいるものの、あまり積極的ではない。
このブログの投稿は、Twitterに自動投稿する設定にしてあるが、これは新規投稿のお知らせ機能として使っているだけ。

FacebookはROMのためのアカウントで、投稿はしていない。ときどきFacebookを見てくださいという連絡があったり、友人がFacebookをやっているので、友人・知人の近況を知るため。

Instagramは最近アカウントを作ったが、どういう反応があるかの長期実験のため。
誰かをフォローしたり、誰かに「いいね」をしなければ、アカウントが注目されることはなく、アクセス数は微々たるもの。
誰でも自由に発信できるのがSNSではあるが、特別なことをしなければ、さして注目されることはない……というのを、インサイトのデータを記録しながら観察している(^_^)。

フォロワーや「いいね」の数は、人気のバロメーターになっているが、フォロワーを増やすためのビジネスまで存在する。
AKBの総選挙(今年はやらなかったが)も、これと似たようなシステムだね。1人1票ではなく、方法は問わずの1票でも多ければいいのだから。
新聞の発行部数を水増しする、押し紙も同じか。

どうやら、人は人気や支持者の「数」に弱いらしい。
その数の中身ではなく、数の多さだけが重要なのだ。
数を増やすためにどうするか?……という、本末転倒な話になっている。

インスタで心理的負担を感じるなんて、なんのためのインスタなんだろうと思う。
そこまで心血注ぐものなのか?
のめりこんでいる人は、中毒にもなっているのだろうから、ギャンブルなどの依存症と同等だ。

インスタの実験をしていて、個人ではなく企業やショップからフォローされることが多いのが特徴的だった。
フォローすることの目的は、フォロー返しを期待しているのだろう。私からフォロー返しをしないと、フォローは解除されるので、見返りがなければフォローは継続しないということだね。

SNSの本来の目的は、名前の通り「ソーシャルネットワーク」、つまり「人と人との現実の関係をインターネットを使って補助するコミュニケーション・サービス」だったものが、自己顕示欲とビジネス色が強くなってしまった。

だから、フォロワーの数を競う。

数万人〜数百万人のフォロワーを持つ人は、社会的影響力が大きいと判断され、広告媒体としての価値も高まる。
これはユーチューバーとして稼げる人も同様だ。

SNSは、ネット社会の光と影の象徴になっているように思う。
裏を返せば、孤独感を感じている人が多いのかな。
フォロワーが多いと、孤独感をまぎらわすことができるのだろう。

なんだか、寂しい世の中だね。

諌山 裕

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