ときどき起こる著作物の盗作疑惑。
ある作家が盗作に走ってしまう心理はなんなのだろうと思う。
銭湯絵師の勝海麻衣氏が盗作疑惑で大炎上 “原作者”も激怒「納得できるわけない」
銭湯絵師でモデルの勝海麻衣氏(24=東京藝術大学大学院1年)に盗作疑惑が浮上し、物議を醸している。
大正製薬の新炭酸飲料「RAIZIN」のイベントで描かれた虎の絵が、過去にイラストレーターの猫将軍氏が描いた別の作品と酷似しているとネット上で指摘された。
と、この記事だけでは、盗作とされる作品がどんなものなのかわからない。
で、探してみた。
ということで、なるほど、こりゃ盗作確定だな。
弁解の余地はない。
これが偶然の産物だとしたら、数兆分の1という恐ろしく確率の低い現象が起きたことになる。
勝海麻衣氏は芸大の学生だということで、アマチュアとしてなら模写や模倣をすることは、けっして恥ずかしいことではないし、誰しも通る過程ではある。
ある芸大では、学生の作品がパクリでも優秀作品として選ばれたりするようなので、盗作を容認している風潮もあるのかもしれない。
オリンピックのエンブレムのデザインで、盗作疑惑を呼んだあるデザイナーは、過去作品で多数のパクリやトレスが露見したりもした。
とはいえ、芸大生でありながらも、プロとして受けた仕事の作品で、これはない。
甘いというか、プロとしての自覚が乏しい。
おそらく、勝海麻衣氏はネットから参考になる作品を拾ってきたと思うのだが、自分が拾ってきたのだから、ほかの人でも拾えることを忘れている。つまり、盗作すれば、すぐにばれてしまうのだ。
そのことに気がつかない、あるいは無神経なところが、浅はかなのだと思う。
一度盗作疑惑を起こすと、以前の作品も盗作なのではと疑いの目で見られてしまう。
盗作作家のレッテルを払拭するのは、生やさしくないと思うよ。
新進気鋭の作家だから、安易な盗作に走ってしまったともいえるが、ベテラン作家でも盗作することは、過去の事例としてある。
その理由は様々だろうが、ひとつには心の弱さなのだろう。
スランプでアイデアが浮かばないとか、時間がなくて新作を作れないとか、プレッシャーで作品が作れないとか……。
そんなときに、たまたま目にした誰かの作品に、「これは使える」と悪魔がささやく。
悪魔の誘惑に負けてしまった時点で、クリエイターとしての自尊心を失ってしまっている。
その場しのぎの満足感のために、罪悪感や恥を捨てる。
ある意味、盗作に走ったクリエイターは、才能の限界を露呈したともいえる。
誰かの作品をパクらないと、作品が作れなくなってしまったのだ。
生みの苦しみではなく、盗む楽(ラク)を選んだ。
そうなってしまうと、もはやクリエイターとしては終わり。
私には、盗作した作品の前に立つ彼女が、愚かしくも哀れでならない。