なんともバカバカしい詐欺に引っかかる人は、少なからずいる。
だます方は、あれこれと巧妙に理屈をこじつけて、もっともらしい説得力をもたせるか、強引に押しつけるかのどちらかだ。
スパムメールの大半は、もっともらしい嘘と餌をぶらさげて、カモか魚がかかるのを待つ手法だ。
そこには、人の「欲望」が絡んでいる。
あることについての「欲」があると、餌に食いつきやすくなる。
その欲を満たすのに、自分の負担が少なく、得られる利益が大きいほど、欲求が強くなる。
詐欺師は、そこにつけこむ。
ネット上で展開された以下の事件も、そうした欲望と嘘を見破れない無知が招いたものだ。
Business Media 誠:アバターで成功するはずが……ネットで展開されたマルチ商法の真相 (1/5)
「エクシングワールド」ーー。
ビズ社が昨年6月までに完成するとしていた仮想空間の名称だ。ネット上で日本列島を丸ごと再現するとうたっていた。
利用者はこの仮想空間の中で、「アバター」と呼ばれる自分の分身を自由自在に操り、以下のようなことができるはずだった。
* 愛車を使って高速道路をドライブ
* アバターを通じて他の利用者と自由に会話
* 新幹線に乗って遠方に旅行
* 地方の有名な祭りへの参加
ネット事情にある程度詳しく、セカンドライフなどの仮想世界のことを知っていれば、いかにも怪しい説得力だと気がつく。
こんなことが可能になるのは、まだまだ先の未来だ。
そもそも現状のアバターを使っても、それは画面上のことであって、ゲームをやってるのと大差ない。むしろ、ゲームの方が没入感はあるだろう。
バカげた話だ。
これを信じてしまう人たちは、無知としかいいようがない。
調べようと思えば、ネットに情報はいくらでも転がっている。投資話として、金儲けすることしか頭になかったのだろう。
昔からそうなのだが……
●パソコンはなんでもできる。
●インターネットはなんでもできる。
……といった、勘違いというか幻想がつきまとっている。
無知ゆえの浅はかさだが、自分の理解を超えた情報を見せられると、疑うとか調べようとはせず、信じてしまう。
ある種の洗脳や宗教にも通じる、思考停止だ。
現在のアバターでバーチャル世界の日本中を旅行したからといって、それが本当の旅行になるだろうか?
PCの画面を見ているだけで?
ちょっと考えればわかりそうなものだが、そういう疑問もわかないのは深刻だ。
それだったら、テレビの旅番組を見ている方が、よっぽどためになる。
どうやら、根底には、仮想空間に対する誤解や、イメージが先行している未来技術が、あたかも実現しているといった無理解があるようだ。
映画「マトリックス」や映画「アバター」のような、脳と直結された仮想世界が実現するのは、まぁ、少なくとも50年以上未来だと思うね。
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