最近の学校には、冷暖房完備の教室が増えている。その割合は、公立校では約4割だという。
私が小中高の時代には、冷暖房なんてなかった。故郷は九州は大分県の大分市だが、気候的には瀬戸内海気候であり、冬に雪が降ることは希ではあるものの、夏は暑い。うだるような暑さでも、冷房なしで授業を受けていた。
冷房のある現在は、恵まれてるなーと思う。
とはいえ、30度を超えないと冷房を入れないというのには驚く。
文部科学省は小中高校や大学にある教室の望ましい環境を定めた「学校環境衛生基準」を一部改正し、全国の教育委員会などに通知した。これまで「10度以上30度以下」だった望ましい室温は、エアコン慣れした児童生徒らの増加に伴い、「17度以上28度以下」に変更された。
教室は必ずしも風通しのいい環境というわけではなく、気温が30度になると、40人前後の生徒がいれば、人間の体温と呼気で室温と湿度は上がる。
南側の窓際席は、直射日光が差しこむから、夏は地獄。逆に冬は暖かくて天国になる。
夏はむちゃくちゃ暑かったという記憶しかない。
「暑さ、寒さに耐えることを学ぶのも教育」などという意見もあるそうだが、いやいや、それは教育じゃなくて拷問だよ。一種の体罰に等しい。冷暖房に頼り過ぎるのも問題ではあるが、教室の環境は、そこに40人が詰め込まれたときの環境を最適化するようには設計されていない。過ごしやすさとは無縁の、コンクリートの箱でしかなかった。
今はどうかしらないが、昔は衣替えの時期は決められていて、夏服になるのは6月になってからだったと思う。
それ以前に、夏日になるような暑い日があったとしても、冬服の制服(いわゆる学ラン)を着ていなければならず、授業中は学ランを脱ぐことはできなかった。休み時間になると学ランを脱いで、一時しのぎするが、女子は脱ぐわけにもいかず、暑い冬服に堪えていた。
冬はめったに雪が降らない土地ではあったが、それでも氷点下になることはある。
私が小学4年のときのエピソード。
氷が張るような寒い日。当時通っていた学校は、校舎が古い木造だった。鉄筋コンクリートの校舎もあったのだが、それは上級生の入る校舎で、下級生は木造校舎だった。
木造だから、すきま風がピューピューで、教室の中と屋外との気温差はほとんどなかった。教室内には、防火用にバケツに水を溜めていたりしたのだが、そのバケツの水に氷が張っていた。室内でも、ほぼ氷点の温度だったのだ。だから、室内なのに吐く息が白くなる。私たちは、そんな教室で授業を受けていたのだ。
今では考えられないような環境だ。
寒くて寒くて、体の震えが止まらない。こんな状態で、授業に集中できるわけもなく、ノートを取ろうにも、手が震えて文字が書けなかった。
もはや虐待である。
寒いからトイレが近くなる。途中で退室するクラスメートもいたが、男子は「先生、トイレ」といえるが、恥ずかしがる女子はそれができない子もいた。
ある日。
私の隣の女子が、トイレを我慢できず、トイレ退室を先生にいうこともできず、とうとうその場で失禁してしまった。
彼女は泣いていた。
そんなことがあっても、学校はなにも対策をしなかった。よくあることと片付けられていたのだ。失禁した女子は、しばらく学校には出てこなかった。幼いとはいえ恥じらいのある女の子だ。心の傷が癒えるのには時間がかかるものだ。
思い出しても、劣悪な環境だった。
それが教育だって?
ふざけんじゃねぇーよ(怒)
昔はクーラーなんて贅沢品だったから、教室にクーラーがなかったのはしかたがない。
現在、設備として冷暖房があるのなら、それを使わないのは電気代をケチっているのか、バカとしかいいようがない。
28度でも暑い。
ここで問題なのは、クーラーの温度設定を28度にすることではなく、教室内の温度を実測して28度以内になっているかどうかだ。往々にして、機械の設定温度より高くなっているものだ。また、クーラーの真下は涼しくても、教室の端は暑かったりもする。
学校は子供を無造作に詰め込む箱じゃない。
子供を育てる場であるはずだ。子供の目線で、環境を考えてほしいと思う。