「書籍は紙かデジタルか」の続き。
電子ブック関連の記事が多くなった。
kindleやiPadによる電子ブックの波が、日本にもやってこようとしているからだろう。
出版社もそれに対応しようとしているが、なかなか明確なビジネスモデルが見えていないのが実態のようだ。
出版界はかなり保守的で、新しい時代に対応するのが遅れがち。
紙という古いメディアに固執し、ネット時代の適応もまだできていない。なにより、中の人たちが旧態依然とした体制や手法で仕事をしているため、方向転換が難しくなっている。
参照→「iPadの衝撃……となるか?」
そんな出版界の実態を指摘した記事が以下。
誠 Biz.ID:Amazon Kindle DTP:僕から出版社にお金を分配する未来ーー電子書籍出版秘話 (1/3)
小沢氏 そもそもKindleでの電子出版を始めたきっかけというのが、一応これは1月24日の夕方にやっていたんですが、実はやるって決めてから1週間くらいしか経ってないんですね。思い立ったのは。日本電子書籍出版社協会というのが記事になっていたんですね。大手出版社二十数社が集まって2月中にどうのこうのという記事もあって、その中で確か講談社の野間(省伸)副社長が、デジタル化で出版社が作品の二次利用ができる権利を著作者とともに整備していくということを言ってて、その一文がなんど読んでも理解できなかったんですね。Amazonが著作者に直接交渉して電子出版を図れば最初に本として刊行した出版社はなにもできない、とも言ってて。これに非常に頭に来まして。だってあんたら絶版にしてんじゃん、ていう。
作家にこういわれてしまうのも無理もない。
そもそも「契約書」が存在しないことも多い。口約束だったり、暗黙の了解だったりして、曖昧なこともある。
紙の書籍は、企画→制作→印刷→流通→販売と関わる会社と人が多く、出版社という組織力と資金力が不可欠だった。
だが、電子ブックは個人で可能であり、旧来の出版システムをすべて中抜きにできてしまう。
作家が直販することが可能になる。
ネットで産地直販や製造直販が可能になったのと同じ理屈だ。
一気に作家直販とは変わらないだろうが、行き着く先は見えている。旧来の出版社は不要になる。
参照→「電子ブックは「作家直販」を可能にする」
出版界は「日本電子書籍出版社協会」なんていう、既得権益を保護するためのものと思われる団体を作るのではなく、すでに電子ブックを売るためのインフラを作っているAmazonやAppleのiBooksに対抗するインフラを早急に作るべきなのだ。
だが、それを今から作るのは、無理かもしれない。そういうノウハウを持っていないからだ。今まで安穏としていたことのツケだ。先見の明がなかったということでもある。
自ら作れないのなら、iBooksと積極的に提携するのも道だ。
電子ブックで、出版社が作家と販売経路(iBooks等)とのパイプ役になれるかどうかが、電子ブック時代に出版社が生き残れるかどうかの分かれ道だと思う。
パイプ役になれなかったら、最終的には作家がiBooks等を通して直販するのがベストな選択になってしまう。
作家直販が可能になり、誰でも作品を発表できるようになれば、ベストセラーが誕生する過程も変わってくる。
遠からず、そういう時代が来ることは間違いないだろう。