増え続けるデータを保存するために、外部メディアであるCD-RやDVD-Rにデータを書き出す人は多いと思う。
現在、ハードディスクは大容量で安くなったとはいえ、10〜20年前は1GBでも数万円はした。HDに入りきらなくなったデータは、CD-Rに吐き出していた。データサイズの大きな画像やDTPデータが多いので、すぐにHDが一杯になっていたからだ。
先日、そんな10数年前のデータを引っ張り出す必要が生じて、CD-Rをドライブに入れてみたら……
読めない(×_×)
認識すらしない。
劣化することは承知の上だったが、いざ読めないとなると、困ったことになる。
過去のアート作品のデータだったので、そのCD-Rが読めないと、作品データはただのポリカーボネートのゴミと化す。
焦った。
作品はデジタルで作っていたので、データそのものが作品だ。手描きのイラストであれば、原画が残るが、デジタル作品はそうはいかない。
なんとかデータをサルベージする方法はないか?
検索をすると、いろいろな方法が試されているが、中には怪しげなものもある。
とりあえず試してみたが、すべてダメ。
そこで、データ復旧をしている会社に問い合わせてみた。
ディスクセーフというところ。
丁寧な返信をいただいた。
CDの信号劣化が原因により、データの読み取りが出来なくなっている場合、多少の劣化であれば、専用解析装置にて記録されているデータを復旧可能ですが、劣化の進行状況によっては、記録されているデータの復旧が出来ない場合も御座います。
今回トラブルの発生しているCDは、データを記録してから10年以上経過しているとの事で、データ復旧の可能性は非常に低いと考えています。
つい最近まで、読み取りが出来ていたCDの場合ですと、劣化の初期段階となり、記録されているデータを復旧出来る可能性は高くなりますが、最後にデータを確認してから年数が経過している場合、既にデータが完全に消失している可能性が大きく、復旧の可能性はほとんど無いとお考え下さい。光学系メディアは適切な保管をしていても、信号が徐々に劣化していきます。
また、お伝え頂きましたメーカーの中でも特に、imation、RicohなどのCDは、劣化のスピードが他のCDよりも早い傾向にあります。弊社で所有している解析装置は、一般的なパソコンのドライブよりは、高い読み取り能力がありますが、CDの劣化がどんどん進んでいくと、最後には解析装置でもデータを読み取り出来なくなります。
こりゃ、依頼しないとダメかなと思っていた。
なにしろ、10〜20年前のCD-Rなのだ。
なんとか救出できないかと思案して、会社で使っている古いマシンではどうだろうと思った。
古いマシンとは、2006年製のMAC-PROだ。
会社でも古いデータはCD-R等に書き出しているが、比較的古いディスクでも読めていたからだ。
で、自宅のiMACでは読めなくなったCD-Rを会社に持っていって、トレイに入れてみたら……
読めた(^o^)
いやー、びっくり。
自宅のiMACでは、うんともすんとも反応しなかったディスクを、スラスラ読んだ。ちなみに、自宅にはiMAC内蔵のドライブ以外に、外部ドライブが2つあるのだが、そのいずれでも読めなかったのだ。
しかも、そのディスクは劣化が早いといわれたimation製だったのだ。
これならいけるかも……と、その後、古いCD-Rをすべて会社に持ちこんで、データをコピーし、HDに保存し直した。
ディスクが劣化していることは間違いないが、なぜ古いマシンでは読めたのか?
これは推測だが、新しいドライブは読み取り精度が高くなっている分、劣化が大きく影響するのではと思う。
対して、古いマシンは精度が荒い分、エラーとして検知する許容値がゆるいのではないか?
などと思っている。
ともあれ、これにて一件落着。
劣化して読めないディスクで困っている方は、CD-Rを焼いた時期と同じ時期に使われていたマシンのドライブで試してみるのも一考だ。
解決方法のひとつとして、ここに記しておく。