暗黒物質(ダークマター)の手がかりが見つかったかもしれないというニュース。
これは宇宙好き、SFファンには想像力を掻き立てられる出来事だ。
宇宙に存在するとされながら見つかっていない「暗黒物質」の証拠を、米欧などの国際チームが発見した可能性があることが8日、分かった。国際宇宙ステーション(ISS)で観測したもので、9日に発表する。発見が確定すればノーベル賞級の成果となる。
私たちの周りに存在する通常の物質は、宇宙ではマイノリティだ。
全宇宙の構成要素のうち、74%の暗黒エネルギー、22%の暗黒物質であり、通常物質(と私たちが呼ぶもの)はたったの4%でしかない。つまり、割合的にいえば、私たちの住む環境と体を構成する物質は「通常」ではないのだ。
ダークマターの解明は、宇宙の謎の解明の本丸だ。
今回、ISSの観測装置で反ヘリウムらしきものが見つかったとされるのだが……
暗黒物質同士が衝突して崩壊すると、反陽子と反中性子が生じる。検出した反ヘリウムは反陽子2つと反中性子1つが結合してできたもので、暗黒物質が存在することの証拠になる。
そもそもダークマターの特性は仮想理論だから、暗黒物質同士が衝突して反ヘリウムが生成されるとは断言できないと思うのだが?
というか、ヘリウムは水素についで宇宙空間にはありふれた元素だが、ヘリウムと反ヘリウムが対消滅せずに観測機器に捉えられたことの方が驚きだ。つまりは、できたてホヤホヤの反ヘリウムだったということか?
誰の作品だったか忘れたが、反物質だけでできた星系という設定のSFがあったな。
反物質は電気的特性が逆なだけで、反物質同士であれば通常物質と同じ反応をするので、反物質世界というのも理論的にはありえる。
ただし、反物質で構成された知的生命体と、握手することはできないが(^_^)
ダークマターの理論には、「WIMP」(ウインプ)説と「SIMP」(シンプ)説、そして両者をあわせたような説があり、いずれも決定打とはなっていない。
観測できないがあるはずのものであり、ダークマターがなければ現在の宇宙の姿を説明できないとされる。
日本のスーパーカミオカンデでもダークマターを補足しようとしているが、いまだに成果は上がっていない。ここではWIMP説に基づく兆候を探そうとしているが、見つからないのはWIMP説が間違っているのではないかとも推測されているようだ。
いずれにしても、ダークマターは宇宙の見えない主役だ。
宇宙を一杯のお茶(緑茶)にたとえるなら、私たちを含む通常物質は、湯飲み茶碗の中に混入した茶葉のカスであり、お茶本体がダークマターとダークエネルギーということになる。
茶葉のカスが、
「周りを満たす液体の正体はなんだ?」
といってるようなもの。
はたして、この宇宙を満たすお茶の正体は、見つかるだろうか?
続報に期待したい。