東京の2011年の雪

 本日午前中に、東京(23区内)は雨が雪混じりになった。
 今年初めての雪だそうだが、もう2月の終わりなのにである。平年以上に暖かくなったり、急に寒くなったり、天候は不順になっているようだ。
 暖かい日は、「温暖化の影響ですかね?」とニュースキャスターは言うのだが、逆に平年より寒いときには「温暖化はどうなったのでしょうね?」とは言わないのだ。福岡あたりは平年よりも雪が多くなっているというのに。
 それって、ご都合主義じゃねぇ?

 今日みたいに寒い日だと、暖房の効いた社内でも寒そうにしている人が多い。
 そんなに寒いかね?
 私は室内ではシャツ姿だが、寒くはないよ。室内なのに、セーターを着てジャンパーを着て、マフラーまでしているのが不思議なくらいだ。

 昔……小学生の頃は、冷暖房なんてなかったから、寒い日は無茶苦茶寒かった。
 なんていう話を、いつも妻にするから、耳たこになってるみたいだけどね。ブログにも書いたかもしれないが(^_^;
 私の出身の九州でも雪は降る。雪が降るくらい寒い日は、外では氷が張るし、舗装されていない道路が多かったから霜柱もあった。歩くとザクザクと霜柱を砕く音がした。ザクよりもズコックの方が好きだが……と、話が違う。

 私の通っていた小学校は、古い木造校舎と鉄筋校舎が混在していた。近くに新しい団地ができたばかりで私の家もそこにあったのだが、生徒数が急増していた。そのため、教室数が足りなくなり、木造の講堂を仕切って、急ごしらえの教室にしていた。
 私のクラスはそこにあった。
 木造だからすきま風がピューピューだし、元は講堂なので仕切っている壁は天井まで届いていない。上の方は風通しのいい空洞だったのだ。サイド7の空の向こうに見える町並みみたいに空洞ではないが。
 だから余計に寒い。

 どのくらい寒いかというと、教室の中で吐く息が白くなる。教室においてある水を張ったバケツに氷が張っていた。つまり、ほとんど0度に近い温度だったのだ。
 今では考えられないくらい劣悪な環境だろう。凍死者が出なかったのが不思議なくらいだ……というのが大げさとも言えないくらいに。
 手がかじかんで鉛筆が持てない。手袋をしているから余計に持てない。教室にいても、外にいるときと同じ格好だった。寒くてガタガタ震えるから、リズム感は養えるかもしれないが、授業に集中できない。冷えるからトイレにも行きたくなる。

 あるとき、トイレを我慢できなくなった女子が、その場で洩らしてしまったこともあった。途中で席を立つ勇気がなかったのだろう。その子は、しばらく不登校になったが、無理もない。
 そんな環境でも、誰も文句を言わずに授業を受けていた。そういう意味では、タフな子どもたちだったのだ。しかし、ニュータイプとして目覚めるような環境ではない。

 妻が「寒い、寒い」と言うと、
「オレが小学生の頃は、教室で氷が張ってたんだぞ」
 と、毎度言ってしまう。
 そういう時代もあったのだ。
 それに比べたら、今は暖房があるから、極楽である。

諌山 裕

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