「確信犯」の誤用が目立つ

元次官殺傷事件をはじめとして、殺人事件が起きたときに、ニュースキャスターやコメンテーターが犯人像を推理するときによく使われる言葉。

「確信犯」

「犯人は悪意を持った確信犯ですね」
……といった使われ方をする。
だが、これは確信犯の意味を取り違えている。

本来の意味は、

 道徳的、宗教的または政治的信念に基づき、本人が悪いことでないと確信してなされる犯罪。思想犯・政治犯・国事犯など。

である。
つまり、犯人は正しいことをしているという認識であり、罪悪感などはない。悪意を持った殺人の場合には、基本的には当てはまらない。衝動的な殺人や、強盗目的の殺人の場合には、確信犯とはならない。
しかし、最近では、悪意のある意図や動機を持った行動や犯罪に対しても「確信犯」という使い方をするようになっている。
悪いことであることを「確信」している犯人……という解釈をするようになったのだ。

一般人が誤用することはしかたないとしても、専門家のコメンテーターとしてテレビ等に出てくる人が誤用することはいかがなのものか?
あまりにも誤用が多いために、

悪いことだとわかっていながら行われた犯罪や行為。また、その行為を行った人。

……という意味も併記する辞書が出てきてしまった。
白が黒になったような、正反対の意味なのだ。
言葉は時代によって変化していくものだが、マスメディアはその境界線をきちんと守って欲しい気がする。

諌山 裕

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