世の中にはたくさんのルールがある。
法律として国が定めたルールから、明文化はされていないが「常識」とされるマナー、あるいは家庭内だけで通用する超ローカルルールまで。

ルールは、関わる人同士が、円滑に社会生活を営んでいくための約束事だ。それが守られないと、いろいろと障害が起こる。
犯罪は最たるものだが、電車でのマナーが守られず不愉快な気分になったりもする。

ルールは絶対……としてしまうのにも、問題はある。
ルールは誰かが作るものだ。作る人間の意図や利害がある。悪法も法という言い方もあるが、虐げられるルールも世の中にはある。

そんなルールに関する記事。

小さな犯罪を見過ごすな / SAFETY JAPAN [松村 喜秀氏] / 日経BP社

 ある会社で中途採用した社員に勤務時間は朝9時からと言ったら、本当に9時にやってきたという話があった。

9時というのは仕事を開始する時間であって、そのための準備に普通はせめて15分前ぐらいに来るのが常識ではないか。あまりに社会的常識がなさすぎる。

ちょっと待て!

このケースでは、その新入社員に非はないと思う。
社としての就業規則と、自発的な「常識」を混同すべきではない。
15分前に出社させたいのなら、就業規則に「始業開始時刻の15分前に出社すること」と明記するべきなのだ。
彼は遅刻はしていないのだろうから、責められるいわれはないだろう。
準備時間も仕事のうちであるはずだからだ。

私の妻が以前勤めていた会社では、以下のようなことがあった。
始業は9時からだが、女性社員は掃除、お茶くみなどのために、1時間早く出社するように求められていた。実質は8時出社である。

そして、終業は5時だが、その日の作業報告を書いたり書類整理をするために、1~2時間は帰れない。就業時間中に本来の業務以外のことはしてはいけなかったそうだ。
朝と夜の本来の業務以外の作業に当てられた時間、3時間については無給であった。つまり、ただ働きだ。
その会社では、それが「常識」とされていたのだ。

上記の記事の中で著者は、タバコのポイ捨てなどの小さなルールを守れないようだと、大きな犯罪に発展する可能性がある……というようなことを書いている。
そして「小さな犯罪を見過ごしてはいけないことは社内犯罪でも言える。」とも。

それは経営者にもいえる。
たかが15分くらい早く来て、準備をしろ……というのは、15分はただ働きしろといっているようなものだ。
それがやがて、1時間になり2時間になり……と、妻の勤めていた会社では、業務以外の仕事を無給でさせられることになっていたのだ。

サービス残業は、労基法違反である。
つまり、たとえ15分でもただ働きさせるのは、経営者の犯罪ではないのか?
タバコのポイ捨てと同じで些末なことかもしれないが、それが常識という考えかたをするのなら、準備時間が1時間でも常識に変わってしまうように思う。

30分未満の時間外労働は切り捨てられてしまうことが多いが、15分の早出が25日続けば、合計6時間25分である。25分は切り捨てるとしても、6時間分のただ働きになる。最低賃金の700円で計算しても、4200円分だ。1年で5万400円の損失だ。
経営者から見れば、微々たる金額かもしれないが、労働者にとっては無視できない金額だろう。

それでも、15分くらいただ働きしろといいますか?

諌山 裕

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  • 店舗の社員に圧力をかけて、残業申請をあきらめさせ、「自発的にサービス残業」をするように仕向けます。
    明日までに終わらせなければならない仕事なら帰るわけにもいかず、泣く泣くサービス残業をしなければなりません。
    こういった悪質な手口は、キリン堂の全エリアで組織的に慣習として行われています。
    労働基準監督署の人が調査に来た時のために、「労働基準法に違反せず、従業員には適正に労働をさせて、労務管理もまとも」であるという、ウソの証拠を捏造して、
    労基署の人に報告します。
    キリン堂に行政指導が入らないのは、せっかく調査に来ても、ウソの報告によって労働基準監督署が騙されてしまうからです。
    それに加えて、サービス残業がなくならない一因として、社員たちが労働基準法を知らなさすぎるということもあります。
    その「無知」につけ込み、マネージャーやブロック長は店舗社員にサービス残業をさせています。
    要領が悪かったり仕事のスピードが遅いから時間内に仕事が終わらずに残業をしなければならないことになったとき、
    この残業に対しても、もちろん賃金は支払われることになっています。
    法律で決められています。
    キリン堂では1999~2000年あたりに兵庫県内に勤務する社員が自殺未遂をしています。
    キリン堂各店舗の社員たちは、なにもダラダラと仕事をして残業代を稼ぎたいわけではありません。
    仕事が早く終われば、定時にサッサと帰って家族団欒という価値ある時間の使い方をしたいだけなんです。
    私は、もう限界のようです。いつ自殺しようかと、そんなことばかり考えています(泣)

  • ドラッグストア・キリン堂(本社は大阪。社長は寺西豊彦。証券コード2660)への就職を視野に入れている人は知っておいてください。
    ★就職説明会でのキリン堂の「残業手当は支払われる」という言葉を信じてはいけません。
    まったくのウソです。
    残業申請をすれば、残業をしていいことになっていて、そうすれば手当は支払われることになっていますが、
    実際は、マネージャーやブロック長が「そんな理由では残業申請させない」と言ってきたり圧力をかけてきて、残業申請を押さえ込みます。
    店舗の社員は泣く泣く「自分から自発的に」残業をするように追い込まれます。

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