日本人の平均寿命(余命)が短くなったというニュースなのだが、その原因が新型コロナだと説明している。
だが、それは正しい解釈なのか?……と疑問に思った。その根拠となるデータが示されていないからだ。
日本人の平均寿命 2年連続で縮む 「新型コロナの影響大きい」厚労省 | TBS NEWS DIG
日本人の平均寿命が2年連続で短くなったことが厚生労働省の統計で分かりました。
厚労省によりますと、去年の日本人の平均寿命は▼女性が87.09歳、▼男性が81.05歳でした。
前の年から▼女性は0.49歳、▼男性は0.42歳下回り、男女ともに2年連続で短くなりました。
去年の新型コロナウイルスによる死亡者数はおよそ4万8000人で、厚労省は「新型コロナウイルスの影響が大きかった。今後も下がり続けるとは考えていない」としています。
関連する情報を拾ってみると……
22年の死亡158万人超、戦後最多 コロナ余波も – 日本経済新聞
厚生労働省が28日に公表した人口動態統計(速報)では、2022年の国内の死亡数、前年比の死亡増加数ともに戦後最多となった。新型コロナウイルスによる死亡に加え、心不全などで亡くなる高齢者が急増している。
22年の国内の死亡数は158万2033人で、前年より12万9744人(8.9%)増えた。
22年初めの第6波以降、新型コロナの流行の中心となっているオミクロン型は致死率が低下しているとみられるが、感染力が強い。厚労省の集計では22年にコロナ死亡の報告数は約3万9千人で、前年(約1万5千人)より約2万4千人増えた。
コロナ以外の死因で亡くなる人はさらに増えている。
厚労省が約5カ月遅れで公表している22年1〜9月までの死因別死亡数を前年と比較すると、全体で約8万1千人増加した。このうちコロナの死亡数は約1万5千人、循環器系の疾患は約1万7千人、老衰は約1万8千人それぞれ増えた。年代別では循環器系の疾患や老衰で亡くなっている人の多くは80代以上だった。
感染症などの専門家は2月22日に死亡数の増加について見解を公表。「コロナに感染して全身状態が悪化し、コロナ以外の死因で亡くなる患者が増えた可能性がある」と推測している。
コロナの流行が始まった20年は感染対策で死亡数は減少したが、21年は反動もあり増加した。2年間の合計では平年を大きく上回る超過死亡は生じていなかった。
感染症などの専門家は見解で「現時点で、ウイルス変異による重症度が悪化しているという報告はない」とするが「今後の感染状況を把握するためのさらなるサーベイランスが必要」と指摘している。
……ということなのだが、年間死亡数158万2033人のうちコロナ原因の死亡数が4万8000人とすると、約3%となる。その3%が平均寿命を下げることになったというには、割合が少なすぎはしないか?
記事中でも「2年間の合計では平年を大きく上回る超過死亡は生じていなかった。」としている。
平均が下がるためには、平均寿命の女性が87歳、男性が81歳よりも若い人が多く亡くならないと、平均値は下がらない。
では、コロナで亡くなった人たちの年齢別死亡数はどうなっていたかというと……
……と、このグラフは累積なので、2022年だけのデータではないが、80代以上が多くなっているものの、80代以下は少ない。それが平均を下げる要因になっているだろうか?
平均寿命より高い年齢での死亡は、平均を下げることにはならない。
もっと詳細なデータが欲しいところだが、ネット上では見つけられなかった。
なんとなく感覚的に新型コロナのせいにして、実態を見ていない気がする。コロナが主因ではないとすると、理由は別にあることになる。
詳細なデータを入手できる専門家に、検証して欲しいと思う。