いつのまにか気候変動問題で、アイコン的存在になったグレタ・トゥーンベリさん。
いささか挑発的な発言をしたりするので、反感を買うことにもなっている。
「グレタさんは中国を批判しない」は本当?―10億人の子ども達が直面する危機とは(志葉玲) – 個人 – Yahoo!ニュース
日テレの記事は、グレタさんが温暖化防止を呼びかける活動を開始してから今月で3年となるにあたり、彼女の寄稿文をニューヨーク・タイムズ紙が掲載したことを報じたもの。同寄稿文でグレタさんは、中国や米国、ロシア、日本など10カ国が世界の温室効果ガスの7割を排出している一方、温室効果ガス排出の少ない途上国である中央アフリカやナイジェリアやギニアなどの33か国は温暖化によるリスクが非常に高く、これらの途上国の子ども達がより大きな被害に脅かされることを「世界的な不公正」と指摘したのだ。
前にも書いたような気がするが、グレタさんの主張はともかく、彼女が活動家として祭り上げられていることに、ずっと違和感を感じていた。
高校生の彼女がひとりでスウェーデン議会の前に立ち、「気候のための学校のストライキ」と看板を掲げ続けたことを、マスメディアが取り上げなければ注目されることはなかった。
グレタさんを注目の少女に仕立てのは、マスコミだったともいえる。
環境保護活動をしている高校生は、世界中にいると思うが、なぜグレタさんだけが注目されたのか?
そこにはメディア受けする要素がいくつかあったと思われる。
Wikipediaによれば、彼女の家庭環境はかなり裕福だ。なにしろ、アメリカまで行くのに自前のヨットを買えるほどなのだ。富豪に入るレベルだろう。経済的に裕福であることで、環境保護活動に邁進できる。彼女自身が稼いでいるわけではないから、親の財力のお陰でもある。
貧しいアフリカ諸国のように、今日の食べ物もない状態では、グレタさんの活動に耳を傾ける余裕はない。
アフリカ出身の黒人の少女が環境問題を訴えたとして、グレタさんのように注目されたかどうか?
アラブ人の少女やアジア人の少女では、どうだったか?
日本でも活動している高校生はいるが、国内ではときどき話題になるものの、世界が注目することは極めて希だ。
なぜなら、表だって言われないものの人種問題が背景に潜んでいる。
利害関係が強い大国の出身ではなく、スウェーデンの少女だったことが、マスコミが好むストーリーを生んだと思う。
「中国や米国、ロシア、日本など10カ国」に対して批判を展開しても、グレタさんの出身国ではないので利害関係が生じない。これがアメリカ出身だったりすると、「自分の国のことを棚に上げてものをいうな」と逆批判されてしまう。
スウェーデンという立ち位置は、じつに絶妙だったんだ。
『IPCC報告「温暖化は人間が原因」といいつつ人口問題に触れず』で書いたが、温暖化が人為的と断言したが、人口問題についてはスルーだった。
一部の研究者は少し前から言い始めているのだが、問題の本質は人口爆発にあると。
新型コロナの空気感染説と同じで、権威を持つ人たちが認めないと、本当の原因は定説にはならないんだ。
気候変動問題での権威は、IPCCだ。
IPCCが人口抑制に触れないのでは、根本的な解決にはほど遠い。
2021年の世界人口は、約78憶7500万人。
2050年の予測人口は、約97億人。
29年で、18億2500万人も増える。
過去からの推移を見ると……
1900年代からの激増ぶりがすごい。
こんなに一気に増えれば、環境負荷が高まるのは当然だ。
人間の感覚からすれば地球は広い(大きい)が、生息環境としては閉じた環境だ。その地球上で生きられる生物の量(数)には、おのずと限界がある。
人間はその限界を、すでに超えていると思われる。
日本は人口減少のフェーズに入っているが、世界人口も2030年頃を境に減少に転ずるとの説もある。人間といえども、地球システムに組み込まれた生態系の一部なので、増えすぎれば減少圧力がかかるというのだ。
いずれにしても、天井知らずで増え続けることは考えにくい。食料が無尽蔵にあるわけではないからだ。
「環境問題の解決には、人口を抑制し、適正人口まで減らす必要がある。」
という結論を、科学者たちが出したとしたら、グレタさんは二酸化炭素削減と同様に、人口削減を訴えるのだろうか?
人口削減とは、子供を産まないことだ。
少子化は環境保護になるんだ。
一足先に少子化になっている日本は、少子化を問題視するのではなく、少子化こそ未来の環境を守る方法だ……と主張してもいい。
ただし、人口減少社会での経済や社会システムを、適正化して再構築する必要はある。
30〜50年後の未来はどっちに転ぶか?
私は見られないのが残念。